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評論同人誌サークル「暗黒通信団」の雑文書き。
貧乏ノマド独身。英語は苦手。好きな地域は中東の砂漠。元コミケスタッフ。コテコテの理系。自称高等遊民。
詳しくは http://ankokudan.org/d/d.htm?member-j.html
新型コロナウイルスの騒ぎが始まって半年が過ぎた。世界的に見れば一向に収まる気配がない。ということは海外旅行もできない。
コロナの恐ろしいところは、かかっただけで社会的に大ダメージだという点である。
隔離されるし、詮索されるし、職場では何してたんだと散々に怒られるし、何より周囲の目が冷たい。感染拡大が続けばいつかはかかるにしても、かかったとき自分に非がないように日頃を生きないといけない。
政府がいくらGOTOキャンペーンを誘惑しても、聞こえないふりをして、じっと堪えて閉じこもっていなくてはいけないのだ。
でもそんなことを続けていたら狂ってしまう。どこか行きたい。そんなあなたのために、「徒歩」を紹介しよう。
筆者は主にダイエットとストレス解消のために、何年も前からこっそりやってきたのだが(このあたり参照:独自すぎるルールは気にしないでください)ついに日の目を見る時が来た。
今回はテクニック編ということで簡単なコースにしてみたが、反応が良ければ長距離版も書いてみたい。
どこを歩くのか? 誰もいない田舎である。コロナ対策バッチリ。東海道でも東北道でも、山陽とか九州とかでもよい。
何かアトラクションにいくのではないし食べに行くのでもない。国道をただ黙々と何時間も歩くのである。
それは積極的無目的という点で、旅行ではない「旅」の究極の姿と言えよう。
ただ歩いていて何が楽しいのか、と思うが、そもそも歩くことそれ自体が楽しいのだ。そして意外な発見も多い。運が良ければインスタ映えする写真だって撮れる。あとはダイエットになる。何よりネタになる。コロナ時代、これしかない!……では始めよう。まずは準備だ。
重いと疲れるので持っていくものは最低限にする。
まずスマホ(筆者はスマホを持っていないので代わりにタブレット機とWI-FIルータを使っているが)と財布(極限まで減らすならSUICAだけでも良い)、ビタミン剤(特にビタミンC)、サングラス(UVカットのもの。100円ショップにあるもので良い)、時期によっては日焼け止め、天気が怪しい時期なら折りたたみの傘、できればスマホ用のバッテリー&ケーブル、そしてドリンクである。夏であれば1.5Lから2Lのペットボトル。冬なら500mLがあれば十分だ。中身は何でも良いが、あまり甘くないほうが良い。筆者はもう面倒なので水道水である。
大事な準備は靴だ。スニーカーを履くのだが、指先の方に100円ショップのシリコンジェルを入れておく。「つま先が痛くならない」とかそういう売り文句のやつだ。予備もあったほうが良い。登山をやっている人はわかると思うが、徒歩においては筋肉痛などよりも、足のマメとか靴ずれこそが最大の敵だ。あとは行き帰りの電車の中で読む文庫本でもあれば上出来。
梅雨明けして酷暑の8月9日(日曜)、朝6時台の電車で千葉の果てに向かった。
何にせよ旅に出るなら早起きがポイントだ。夜間徒歩は色々危険だし、午後の熱風を受ける前に終わらせてしまうのが良い。
今回のターゲットは東金線。東京からだと外房線が成東駅まで直通している。成東駅から大網駅まで14.2kmは、グーグルマップによれば徒歩3時間弱である。実際に掛かる時間はグーグルマップの1.3から1.5倍くらいを見込んでおけば良い。実時間で6時間を越えるとダメージが蓄積するので3時間とか4時間は徒歩にちょうどよいし「東金線を全線歩いてきたよ」といえばインパクト大であろう。鉄道の「全線」を「徒歩」というのはなかなか迫力があるものだ。
……が、朝が早いのでどこも開店しておらず、そのまま歩いて9時10分には東金市に入った。なお、トイレなどはコンビニでもよいがスーパーだともっと良い。
グーグルマップの徒歩経路は、しばしば通行困難な道を出してくるが、今回も一個当たった。気合を入れてガードを乗り越えなければ進めない。 歩いて10時ちょうどに東金駅に到着。ここで休憩だ。この記録が出るのは8月末だろうから、少しは落ち着いていると思うが、この日は実に酷暑で1時間半も歩いたらヘトヘトだった。冬場だと2時間以上歩いてから休憩なのだが、なかなか予定通りには行かないものである。 田舎を歩くと、都会にはない奇妙な優しさ?を感じることがあるが、今回のコレがまさにそうだった。 東京だとまずそんなことはなく「無断駐車即通報」と書かれるだろう。何だか担当者の人柄がにじみ出ている。ここから先、最短路は国道から離れ、ザ・農道である。
ここで面白かったのは謎の民家だ。遠目にも大変インパクトがあり、なんと屋根の上が時計台になっている。
さて、終盤になるとWI-FIを立ち上げて鉄道の時刻を確認する。田舎の列車は本数が少ないので、ある程度終了時刻が見えてきたら、慌てたり休憩したりして時間調整をすることが多い。今回はそれほどの田舎でもないので10分に一本は列車が来るらしいということで何も考えずそのまま歩き、無事11時54分に大網駅到着。ざっと3時間半くらいというところだ。千葉駅に向かう冷房が効いた列車内で、大変気分良く、今これを書いている。