tabinoteワタベです。先日自転車の個人貸しサービスSpinlisterを体験してきました。結論から言うと、自転車乗り必須の超便利サービスでした。以下、おそらく本邦初か、そうでなくとも何番目かくらいにはなるであろう体験レポートです。
Spinlisterとは
Spinlisterとは、自転車を持っている個人と自転車を借りたい人をマッチングさせるサービスです。部屋の貸し手と借り手をマッチングさせるAirbnbの自転車版ですね。自転車の他にも、サーフボード、スキーがラインナップされています。
ふだん自転車で移動している方、海外の渡航先にお気に入りのマイ自転車を持っていければ便利だと思ったことはありませんか。ただし輪行の手間や、場合によっては追加となってしまう航空手荷物料金を考えるとなかなかハードルが高いもの。
現地で借りるにしても、ライドシェアや貸し自転車屋が普及している都市ばかりではありません。ライドシェアは借りることのできる時間や場所が限られていたりしますし、レンタルの場合もスポーツサイクルなどでは結構料金がかさみます。また、そもそも手軽に借りられる自転車ってショボイのが多いんですよね…。
SpinlisterはAirbnb同様に米国発祥のサービス、2012年にラウンチし、現在では世界中にネットワークを広げています。
こちらにSpinlister自身による紹介動画がありますが、英語のみです。実はサイトも日本語対応しているのですが、現状ではだいぶ不自然なようですので英語版の方がわかりやすいかもしれません。
さてさて、東京にもSpinlisterで自転車を貸したいという登録者がいます。
何件かありますが、まだまだ少ない感じですね…。
アジアの自転車大国、台湾ではどうでしょうか。
あんまりないですね。
バンコクではこんな感じです。
上海。
アジアはあまりぱっとしないですね。
それでは、欧州の自転車大国オランダはどうでしょうか。
アムステルダムの場合。
おお!これはいいですね。かなり選択肢がありそうです。
それでは、発祥地米国はどうでしょう。
自転車天国として名高いポートランドの場合。
うひゃひゃ、選び放題。これはすごいですね。
使ってみた
Spinlisterについては日本語での紹介記事もいくつかありますが、「こんなサービスがあります」というものが主流で実際使ってみたという話はほとんど見当たりません。
そこで、私が体験してきました。場所は上述の自転車天国、ポートランドです。
予約まで
まずは、ログインできるようアカウントを作成します。Facebookアカウントで登録するのがラクでいいでしょう(※)。
※なぜか通常のサインインがうまくいかないときがありました。
「オレゴン州ポートランド」で検索し、一覧を表示します。
気に入った自転車があったら選んでみましょう。地図から選択もできますので、宿に近い貸し主を探すこともできます。また、車種の絞り込みも可能です。
一覧を見て気づくのは、とても安いということです。ポートランドのレンタルサイクルの相場ですが、ママチャリでも一日20ドル、低グレードのスポーツサイクルを一日借りて35ドル程度です。Spinlisterならママチャリで10ドル以下、35ドルも出せばハイスペックのロードバイクを借りることができます。
自転車を選ぶと、概要と費用、大まかな受け渡し場所などが表示されます。Airbnb同様にこれまで借りた人のレビューもありますので、参考になります。
気に入ったら、希望のレンタル日時・返却日時を入れてリクエストします。
Spinlisterの取り分は12.5%、意外に安いと思いました。
ここで困ったことがおきました。リクエストするには携帯電話でのSMSで送られてくる認証番号が必要となります(おそらく初回のみ)。日本にいればそのままスマホにSMSを送ればいいですが、私は登録しようと思った時点ですでにアメリカにおり、現地の携帯番号がないためSMSのやりとりができませんでした。
そんな折に知ったのが任意の米国携帯番号を振り分けてくれるHeyWireというアプリ。これがあればWiFi接続のみのスマホでSMSのやりとりができます。
HeyWireで受信できたSMSをもとに、認証をパスしました。これで貸し手にリクエストを送ることができます。
ほどなく貸し手から連絡がきます。この後、貸し借りの時間や受け渡し場所の詳細などを詰めることとなります。
私の場合、返却時間を少し早めて欲しい旨の要望があり、それに応じたところSpinlister経由で正式な「リクエスト承認」のメッセージが来ました。
リクエスト承認メッセージから決済に進みます。決済後に正式な確認メールが送られてきます。
面白いのが、Spinlisterの中の人(肩書きは「CMO & Rider」!)からのフォローメールが来ることです。初体験のユーザーにも不安を与えまいという工夫でしょうか。
受け渡し
リクエストが成立したところで、実際の受け渡しとなります。もう決済も終わっていますので、現物の受け渡しと付属品の確認が主なやりとりとなります。
無事借りることができました。
このクロスバイク(※)、なんと一日たったの7ドル!安い、安すぎ!
※クロスバイクは和製英語で、海外ではハイブリッドといいます。
注意したいのは盗難対策。停車中や宿の前ではしっかりロックをかけておきます。
ポートランドの公共交通は充実していますが、それでも自転車の機動力にはかないません。
バスや路面電車はバイクを載せることができます。郊外までバスで出てそこから自転車という柔軟な使い方もできます。
ポートランドが自転車天国と言われるゆえんの一つがこの専用レーン。自動車の右左折に巻き込まれないよう車道に優先帯を区切っています。また、駐輪場所に困ることもありません。このように、街の各所に自転車を優遇する仕組みがあります。
クルマ同様に右側通行なので注意しました。一方通行ルールもクルマと同じです。
また、路面電車の線路や段差など、意外に道はラフな場所も多いです。タイヤの太いクロスバイクを借りて正解でした。
街中、自転車屋だらけです。
私の宿はポートランド中心街を東西に貫くウィラメット川の西でしたが、東側にも余裕で行けました。
西側のカフェによって、また東側へ。
観光地のバラ園は…、山の上にありプチ・ヒルクライムをする羽目になります。余裕ではありませんでした。
一人歩きが心配な夜でも、自転車ならいくらか安心です。
返却
約束の日時に返却します。律儀な貸し主は正確に時間通り待っていてくれました。
実はこの時カギを返し忘れてしまい、貸し主には再度の待ち合わせという二度手間をかけることに…。すいませんでした。
後で借りる人のために、貸し主と自転車についてのレビューを書いておきましょう。
いかがでしたでしょうか。
「海外でも自転車に乗れればいいなあ」というサイクリストの夢をかなえる素晴らしいサービス。ちょっと郊外に出るのもよし、街歩きに使うもよし、自転車があれば行動範囲が格段にひろがります。
また、貸し主とのコミュニケーションも楽しみの一つ。自転車乗り同士で話がはずむかもしれません。
もちろんサーファー、スキーヤーの方も試してみる価値ありです。