tabinoteワタベです。
不定期連載として、世界のいろんな観光都市のランニング体験を紹介します。
第2回は前回のロンドンに引き続き、アメリカのポートランドです。
ポートランドは西海岸の北側、オレゴン州の州都です。
全米一住みやすい町、環境先進地域などとして知られ、日本人の渡航者も急増中です。
アメリカの都市には珍しい、クルマに頼らない公共交通機関(トラム)を使ったコンパクトな都市計画が評価され、日本のお役人さんも視察に来ます。
日本からはデルタの直行便がありますが、ロサンゼルスやシアトルからも容易に行くことができます。
しかし、なんといっても日本でよく取り上げられるのは、カフェとかアウトドアとか、そのあたりのゆるいカルチャーの聖地みたいなイメージではないでしょうか。実際そこかしこにコーヒー屋や尖った店がたくさんあります。
「ポートランド 聖地」で検索するとでるわでるわ…、まちづくりの聖地、コーヒーの聖地、クラフトビールの聖地、アウトドアの聖地、自転車の聖地、DIYの聖地…、どんだけ聖いんだよ!
キラキラとポートランドの魅力を語る人の発言を読んでいると、なにやら人を惹きつける魔力がうずまいていることは確かでしょう。
そして、なぜかというか当然のようにというか、ランニングの聖地という声もあります。
Wikipediaによると、ポートランドではランニングが盛んで、ポートランドマラソンや世界最大のリレーイベント(フッド・トゥ・コースト・リレー)が行われているとのこと。ナイキとアディダスアメリカのお膝元でもあるようです。
聖地と呼ばれるからには、それだけではないでしょう。何か秘密があるはずです。
私がポートランドに行ったのは8月の始め。
ポートランドの名物は曇り空、というくらいに雨が多い土地柄だそうですが、夏は晴れの日が多いベストシーズン。気温も30度にとどかず、湿度も低めという理想的なコンディションでした。
さて、ウワサ通りの聖地なのかどうか、秘密をあばいてみることにしました。
私が宿をとっていたのはダウンタウンの中心部。まずは観光名所であるワシントン・パークに向かい、そこから適当に市街を貫くウィラメット川沿いを走ってみようと思いました。ワシントン・パークには動物園やバラ園、本格的な枯山水をそなえた日本庭園などがあるそうです。
市街の見取り図はこんな感じですね。
(画像:Google)
日本ならふだん私はSUICA一択なのですが、海外ではお金をどうやって持つかが悩みです。
ポートランドにはコンビニっぽい店はありませんが、そこかしこにセーフウェイやホールフーズといったスーパーはあるので、クレカが一枚あればなんとかなるだろうと考えました。道に迷ったらスマホでUberを呼べば帰れます。
いくら快適な気温といってもやはり夏。涼しい朝のうち、6時台に宿を出ます。
宿からバーンサイド通りという東西に伸びる道に入り、そのまま西のワシントン・パーク方面に向かいました。道は…、正直そんなに走りやすいわけでもありません。歩道は凸凹していて広くもせまくもなく、まあ、普通です。
写真のような自転車専用道はすばらしく充実していますが、さすがにそこは走れません。
西に向かうにしたがい、だんだん道が坂になっていきます。
そう、実はワシントン・パークは最高標高265mというちょっとした山。眼前に伸びる急坂を見て多少ひるみます。あれ、聖地だけどそんな走りやすくないぞ…。
途中にZupan’sという高級スーパーがあったのでひやかしに入ります。同じ道を戻ってきたらここで水分補給ができそうです。
仮に開いていても、クレカが使えなければ入れません。こだわらず先に進み…、なんとかバラ園っぽいところに滑り込みました。
ホロコーストメモリアルという案内に惹かれて向かってみると…、
どうやら、強制収容所で亡くなったポートランド出身者の慰霊碑?
この日は日曜日。しかし、朝早すぎたのでしょうか?ランナーはおろか犬を散歩させる人すら見かけません。やや拍子抜けであります。
こうして空を見ると、まるで山の中ですね。
遠くに見えるのはポートランドのシンボル、マウント・フッドです。
さて、今度は坂を駆け下り、再びダウンタウンの南側を通って川沿いへ。
川沿いには遊歩道が整備されており、やっとランナーを見かけるようになりました。
しかし結構体格のよい方が多く、ペースもむちゃくちゃゆっくりです。
ヨーロッパでも日本でも、ランニングする人ってのはもうちょっとガチ走りの人が多い感じです。好意的に考えれば、真面目な人しか走ってない他の都市とは異なり、ポートランドではランニングが体力レベルに関係なく日常に浸透している、と考えられないこともありません。むりやりですが…。
いいかげん疲れてきたので宿に戻ります。
途中にファーマーズマーケットを発見しましたが、現金がないので何も買えず。
しかし、おそろしいことにまったくノドが乾かず、無給水でした。いくら朝とはいえ真夏のランニング、東京ではとても考えられません。湿度が低いだけでこんなに違うのかと新たな発見でした。
全般的な印象ですが、川沿いや丘陵などバラエティに富んだコース、穏やかな気候は魅力的です。ただし、道が走りやすいとは思わず、ランナーもあまり見かけませんでした。一度だけではそれほど印象が強くなかったのが正直なところ。
これはもう一度行って確かめるしかないな!と思わせてしまうあたり、私も既にポートランドの魔力にはまってしまっているのかもしれません…。