ミュージシャン村上巨樹さんのミャンマー旅行記です。
(注:本事例は2018年2月時点の予約可能なプランおよび費用にもとづいています。)
次はコミンミン先生の家。今日がレッスン最終日。着いたらサンダヤー(ミャンマーピアノ)の生徒がレッスンを受けていた。しばらく見学する。
サンダヤー(ミャンマーピアノ)も楽譜が無い。フレーズ単位で頭に叩き込む。
もちろん完璧ではないけれど、どうにか古典歌謡を3曲覚える。レッスン終了後の記念写真。見ず知らずの外国人を温かく受け入れてくださり、「毎日習いに来なさい」と熱血指導してくださったのは本当にありがたい。「また来年来ます」と伝え、ご自宅を後にする。
ホテルに戻り、能町さんと合流。明日早朝の飛行機に乗るため、今のうちに荷物を整理する。その後、タクシーに乗ってダウンタウン西側にあるレストランへ向かう。
日本人/ミャンマー人問わず、友人/知人/初対面の皆さんで夕食。昨年お世話になった通訳のウィンさんと再会。嬉しいなぁ。美味しいシャン族の料理を食べながら、ミャンマー話が尽きなかった。
タクシーでホテルに戻り、引き続き荷物をまとめる。明日は早い。さっさと寝る。
2月20日(火)
朝4時起床。さすがに眠い。早々にフロントでチェックアウト。すると朝食を包んでくれていた。ありがたい。タクシーに乗って一路ヤンゴン空港へ。これからミャンマー第二の都市・マンダレーに向かう。
国内線は国際線の隣にターミナルがある。
今回はゴールデンミャンマー航空を利用。ヤンゴン〜マンダレー間往復で1人200ドル(約22000円)。早々にチェックインを済ませる。
搭乗ゲートの近くで朝食を食べる。トーストと卵焼き。
優先席発見。一番右のピクトグラムにあるけれど、ここでもお坊さん優先。
バスに乗り、滑走路を移動する。
日本車だ。何歳になっても押したくなるボタン。
燃える朝焼けinミャンマー。
小型機。座席は左右2列ずつ。
座席はやや圧迫感あり。乗客のほとんどが欧米人。みんなマンダレーで降りなかったので、ヘーホーで降りてインレー湖に行くのかも。午前7時、離陸。ひたすら寝る。
軽食のサービス。チーズ入りサンドイッチ、水、謎のスイーツ。このスイーツがやたら美味しかった!表面にゴマがまぶしてある、パウンドケーキのような食べ物。
8時25分、マンダレー空港に到着。熱風が襲ってくる。暑い。
バゲージクレームで荷物をピックアップ。
マンダレー空港はかなり小さい。到着ロビーには両替所やタクシーカウンターが並ぶ。
タクシー乗り場まで歩いて向かう。空港の自動ドアを出た瞬間、地元の若い兄ちゃんたちが「荷物持つよ」と勝手に運んでいく。「ホテルの名前は?」と聞かれたので素直に答えると、それをタクシドライバーに伝えていた。
タクシーに荷物を積み終えると、兄ちゃんたちがチップをせびってきた。おいおい…仕方ないので200チャット(約20円)渡す。ホテルまで二人で15000チャット(約1500円)と言われた。若干高いな。
空港からマンダレー市内までは約1時間。空港近辺は、広大な赤土色の原野が地平線まで広がるエリア。ヤンゴンとは全く景色が違う。その野原を過ぎると徐々に民家や看板が点在し始め、それも過ぎるとバイクの大群と店舗やビルが目に飛び込んでくる。
ホテルに向かう途中で見かけた乗り合いバス。見ているこっちが怖い。
ホテルヤダナーボンに到着。マンダレー中央駅の近くにある中級ホテル。(チェックイン後に判明したんだけど、「wi-fiは1人1端末だけ」と制約あり。これがストレスだった)
綺麗なロビー。
荷物を降ろしてちょっと一休み。その後、予約していた貸し切りタクシーのヤンさんと待ち合わせ。今日の目的地は、マンダレー近郊の町・ザガイン。知り合いのミャンマー人から「古い町だからレコードあるかもね」と言われたので。車で50分くらいだったかな。
ヤンさんに「昼飯食べたいんだけど、どこかおすすめの店ザガインにある?」と聞いたらここに連れて来られた。ザガイン・ヒル・レストラン。外国人向けの中級レストランのようだ。
この日もカレー。ミャンマーでは民族ごとにカレーの味付けが違うので、毎日食べても飽きない。
まずは有名な寺院、ザガインヒルに行く。
ザガインヒルは小高い丘の上にあり、眺めが素晴らしい。生い茂る森林の中に白い古代寺院が点在している。エーヤワディー川の向こうの岸がマンダレー。
天竺ってこういう景色なんだろうな。
丘の下に広がるのがザガインの町。
日本人パゴダ。戦没者慰霊のために建てられたと言う。
建立の由来が日本語で書かれている。
観音様。
ここで戦ったんだな。
次はいよいよレコード探し。ヤンさんに「ザガインで一番人通りが多い場所に連れてって」と伝える。
ザガインのメインストリートに到着。レコード探しスタート。早速サイカー(自転車型人力車)のおじさんが「そこの角の店で売ってるぞ」と教えてくれた。しかし行ってみた先はVCD屋。(ビデオCDの略。そのほとんどは映画やカラオケ)店主に聞いても「無い」の一言。
こう言った小さな町ではしらみつぶしに探すほか無い。宝石店、電気屋、オーディオ専門店…しかし全く見つからない。
市場の入り口にいたおじさんに聞いてみたら「レコード探してるのか?ちょっと待ってな」とわざわざ交番に聞きに行ってくれた。優しすぎる!結果、警察官もレコードのありかは知らなかった。それでもおじさんの優しさが沁みた。
おじさんと記念写真。ありがとう!!
次は市場の中で聞き込み調査。
肉、野菜、魚、菓子、おもちゃ、民芸品などの商店が軒を連ねる。
店番のおばちゃんに尋ねると「レコードなんて懐かしいね。あれでしょ?蓄音機で聞くやつでしょ?」とぜんまいを巻く仕草をしてくれる。「そうですそうです。古い歌手の歌が好きで、レコード探しているんです」と言っていくつか歌手の名前を挙げると、「あらー、なんであんたそんなに知ってるの?」とだいたい驚かれる。大好きなんですよ。
犬も暑そう。
結局レコードは見つからず。それでも地元の人と共通の話題でコミュニケーションできたのは貴重だった。もうここまでくると目的が「レコードを探す」から「どの世代までレコードを知っているか」を調べるフィールドワークに鞍替えしつつある。
カフェで休憩してマンダレーに戻る。本当はこのままマンダレー郊外のマハムニ寺院に行きたかったんだけど、明日に持ち越すことに。ホテルでヤンさんと別れ、部屋でしばらく休む。
夕方、散歩がてら老舗のカセット屋に行く。
路上で遊ぶちびっ子達。笑顔が可愛い。
マンダレー中央駅。
時刻表。ヤンゴン〜マンダレー間が15時間。
駅前でチンロンをする男性陣。チンロンはミャンマーの球技で、日本で言うところの蹴鞠。
老舗のカセット屋に到着。ここは在庫量が豊富で見ていて飽きない。予算の限り買う。
夕食はホテルの最上階で。伝統芸能のショーが見られる。
竹製の木琴・パッタラーの独奏。ショーはこの後、伝統舞踊と人形劇が続く。
部屋に戻って寝る。いよいよ旅も残りわずかだ。
2月21日(水)
朝7時起床。ホテルで朝食を食べる。シェフが客の目の前で卵焼きを調理していて驚く。サービス手厚いな。
9時にタクシーのヤンさんが迎えに来てくれた。まずは近所のスーパーに行く。昼食とサンダルを買うためだ。
オーシャンはミャンマーで有名なスーパーマーケット。日本で言うとイトーヨーカドーのようなポジションだと言う。
ロンジー(ミャンマーの伝統衣装)を売っている。
CDコーナー発見。数枚買う。
今日の最初の目的地はマンダレーから車で1時間ほどの距離にある町・シュエサンヤー。なんでも今日お祭りがあるそう。祭りなら伝統音楽の生演奏が聞けるんじゃないかな?
マンダレーからシュエサンヤーまでの道すがら。建物から察するになかなかの田舎のようだ。
幹線道路沿いに商店と民家が点在する。
シュエサンヤーに到着。観光客ゼロ。ここはパゴダ(寺院)の入り口。今日のお祭りはここであるらしい。門構えがフジロックを思い出す。
境内の果物屋。境内は縁日のように賑わっている。
民芸品も売っている。
アイスも売っている。あ!このキャラクターは…。
燃料も売っている。まさかのガソリンスタンド・スタンドアローン。
寺院の入り口。
金色に光り輝くパゴダ。直射日光を纏い、更に美しい。
中だって負けず劣らず神々しい。
うろうろしてると、向こうの方から音が聞こえてきた。祭りかな?
音が聞こえてきたのはこの部屋。
あ!生演奏やってる!これはミャンマーの伝統アンサンブル・サインワイン。複数のプレイヤーが合奏をするスタイル。
打楽器とちびっ子。
どうやら祭りではなく、仏教的な儀式らしい。柵の向こうには女性が複数人おり、サインワインの演奏に合わせてトランスしていく。巫女的存在?
係員のおじさんに祭りはどこでやってるか聞いたところ「5日前に終わった」とのこと。がーん!外に出たら仮設テントの撤収作業をやっていた。ポールの先端に人が登っている。見ているこっちが怖い。
撤収作業の脇に鎮座する昔の寺院、の前に洗濯物がかけられてる。古代と現在、崇高と世俗が混在しているのがミャンマーっぽい。
タクシーに乗り、次は昨日行けなかったマハムニ寺院へ向かう。
マハムニ寺院はマンダレー市街の南にあるパゴダ。有名な観光地であり、仏教徒にとって大切な場だ。
本堂へ向かう参道。
仏具や工芸品を扱う店が並ぶ。
寺院の中を撮りたい外国人は1ドルか1000チャット(約100円)を支払う。
右に見えるカウンターで撮影料金を払う。左のカウンターでは寄付用の金箔を買える。(詳細は後述)
奥に見えるのが本堂。
本堂を映すモニター。ここは女人禁制なので、内部の様子を伝える配慮がなされている。
せっかくなので先ほどのカウンターで金箔を買う。5枚セットで2000チャット(約200円)。
中はこんな感じ。
本堂の中の仏像は予想以上に大きい。他の人を見ると、思い思いの場所に金箔を貼っている。見よう見まねでやってみる。貼り終えて能町さんと合流。「ちゃんとモニターに映ってたよ」とのこと。
ふと見ると、境内に不思議な服を着た子供が多数いる。しかも家族揃って。あとで知ったが、これは得度式と言って、お坊さんになる為の儀式なんだそう。
別の参道でゴング屋を発見。これも仏具なんだろうか。
それぞれのゴングにCとかEとか書いているのは音程の意味。能町さん二つ購入。
職人が、買ったゴングを改めてチューニングし直す。刀鍛冶の様に金槌で打面を打ち続ける。すると音程が少しずつ低くなる。一連の作業の手慣れた感じがかっこいい。
店員にレコードを売っている店を尋ねると、「ここにあるかも」と地図を書いてくれた。タクシーに戻り、ヤンさんに地図を渡す。
着いた先は電気&時計&カセット屋だった。レコードは無かったけれど、カセットとCDが見つかってテンションが上がる。試聴させてもらいながらいくつか購入。
別の老舗カセット屋へ。しかし欲しいCDがほとんど無かった。なんでも若者はCD買わず、ダウンロードが主流だそう。
評判の良いレストラン・シャンママに行ってみる。
なんでも安くて美味しい。かぼちゃの葉の炒め物(写真中央)とか初めて食べた。空芯菜みたいな食感。
夜はマリオネットシアターに行ってみる。マリオネットはミャンマーの伝統芸能で、国策で保護されていると言う。入場料は15000チャット(約1500円)。
観客のほとんどが外国人。
ステージ前にサインワインが鎮座する。人形劇はおよそ1時間の内容。他にサウンガウ(竪琴)の独奏や、サインワインだけの演奏コーナーもあり。
終演後、係員に頼むと楽器を演奏させてくれるサービスあり。
サインワインを叩く能町さん。
マリオネットシアターを出てホテルに戻る。
ここでタクシードライバーのヤンさんとお別れ。2日間ありがとうございました!
2月22日(木)
朝7時起床。散歩がてら朝市に行ってみる。ホテルから朝市まで歩いて約30分。その間に廃線を、舗装されていない歩道を、大勢のバイクの波をやや慎重に進んで行く。
目印の時計塔。このすぐ先に朝市がある。
朝市に到着。朝8時前でこの賑わい。マンダレー市民の活力を体現しているよう。
そのほとんどが食料品店。日本では見たことのない食べ物に興味津々。
朝市の近くにパゴダがある。せっかくなので参拝しに行く。
静かに鎮座している。
鐘を発見。支柱とを支える部分の彫刻が素晴らしい。
朝市に戻り、朝食を食べる。屋台で「モヒンガー(ミャンマーを代表する麺料理)あります?」と聞いたら「無い。代わりの麺料理ならあるよ」と言われたのでそれを注文してみる。
名前を忘れてしまった麺料理。汁なしカレー麺のような一品。素朴で美味しい。スープ付きで500チャット(約50円)。安すぎる。
バイクタクシーに乗ってホテルに戻る。ホテル前で運ちゃんと記念写真。1500チャット(約150円)でした。荷物まとめてチェックアウト。フロントで荷物預かってもらい、散歩を再開。
人形屋。軒先に吊される某有名キャラクター。
やや食欲がわかないので、昼食はこれだけ。
ミャンマー伝統マッサージ店。試しに施述してもらう。1時間8000チャット(約800円)。これがかなり効く。と言うか痛かった!マッサージ師の兄ちゃんが両腕の中央部を使い、客の身体中を押していく。ちょうど蕎麦打ちの棒と生地の図式だ。
ホテルに戻り、手配していたタクシーに乗る。12000チャット(約1200円)。来た時より少し安い。これからマンダレー空港〜ヤンゴン空港〜成田へと戻る。
空港までの道で見かけた乗り合いバス。こちらが手を振ったら皆笑って振り返してくれた。ミャンマーのこう言う緩い雰囲気、好きだな。
マンダレー空港に到着。
時間帯によると思うんだけど、人がいなさすぎて不安になる。
復路も同じくゴールデンミャンマー航空。カウンターで「座席番号が書いてないんですけど」と聞いたら「どこに座ってもいいですよ」と言われた。適当だなぁ。
18時離陸予定だったけど、遅延発生して18時20分離陸。
機内食。スイーツ、クロワッサン、水とシンプル。時間帯的に夕食だからさすがに物足りない。20時ちょっと前にヤンゴン空港に到着。ここで国内線ターミナルから国際線ターミナルに移動しなくてはならない。
バゲージクレームにある案内ディスプレイ。
ターミナル3からターミナル1に移動。看板の通り21時までのサービスなので注意が必要。
ANAにチェックイン。カウンターが混んでなくて良かった。そのまま手荷物検査と出国審査を済ませる。
搭乗ゲートに着いたのは結構ギリギリだった。トランジットで3時間の余裕見ていたのに、なんでだろう?まぁ無事着けたからいいんだけど。22時10分、定刻通り離陸。機内では速攻寝る。機内食も無視してひたすら寝る。
翌朝7時頃、成田空港に到着。入国審査と手荷物検査を無事済ませる。
無事帰国の1枚。
これで今年のミャンマー音楽調査も無事終了。大量に音源を買ってきたのでコツコツ聞いても最低半年はかかりそう。レコードの洗浄もあるし、現地でのインタビューもまとめなきゃいけないし、マンドリンも復習するし、やること山ほどある。なんだか日本にいてもミャンマーと地続きだな。嬉しい悲鳴はこれからも続く。