ジェットスターで沖縄危機一髪 「到着遅延料」制度に救われた件

ここでは、個人旅行の体験や旅に役立つ知識などを募集いたします。tabinoteを使って実際に行った旅行のレポートも歓迎いたします。お得情報や旅のコツ、旅の楽しさを分かち合う場としてご活用いただければと思います。

(注:本事例は「tabinoteメールマガジン」の2013/12/03~2014/01/14号に渡って収載されたものです。2013年8月時点の内容にもとづいています)


はじめに

tabinoteスタッフのワタベです。
このコーナーでは毎号スタッフの旅行記を掲載していきますが、今後は読者の方の旅行記も掲載していくつもりです。われこそはという方がいらしたら、ぜひこちらまでお寄せください。採用の方には薄謝を差し上げます。
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8月11日 18時15分 那覇

走り回った那覇空港構内

走り回った那覇空港構内

午後6時をまわった那覇空港。
もうフライトも残り少なく、構内は一日が終わっていく雰囲気。
そんなまったりした沖縄の空港で、私はでかいスーツケースを引き倒すように、全力で走っていた。
エスカレーターを駆け降り、宅配便の配送カウンターへ行って都内の自宅宛に発送。たしか寸法も大きいので4,000円近くした。

伝票とおつりをひったくり、その足で国内線搭乗口へ再度全力で走る。心臓はバクバクとフル回転。
検査口で係員に伝える。
「すいません。10分後のフライトに乗らないといけないんです!」

長い列をかき分け、検査を終え搭乗口に走ると、ジェットスター成田行きのカウンターは撤収準備状態だった。
家族は…居ない!良かった、乗れたらしい。
ホッとしつつも、係員に告げる。
「すいません(ぜえぜえ)、GK182便(ぜえぜえ)、乗れますか…」
「GK182便ですか。いえ、残念ですがもう締め切っております」
「そうですか…」
LCCはタラップの代わりにバスで搭乗機に向かう。まさに、そのGK182と書いてあるオレンジの搭乗バスがゆっくりと遠ざかるのが見えた。もう少しだった…。

こうして私は、沖縄から東京に帰る飛行機を逃した。

仕方ない。LCCとはこういうものだ。
安い運賃を享受している分、自分も到着時間の遅れを甘受しなければ…。
諦めと疲労でどっと力が抜けるが、しかし不幸中の幸いというか、家族だけでも一足先に帰れて良かったと思い直す。

明朝の便を探す方向に気持を切り替え初めた頃、
「ワタベ様」
さっきの係員に呼ばれる。
「ご家族がチェックインカウンターでお待ちのようです」

え?
意味をすぐに理解できなかった。
慶良間・渡嘉敷行きのフェリー乗り場「とまりん」でタクシーを捕まえたのはもう搭乗時間も間際。タクシー運転手に事情を伝え、車内で善後策を話し合った。
搭乗券はWEBチェックインして手元に印刷したものがあるので、まっすぐ搭乗ゲートに向かえば間に合う可能性がある。問題は機内に持ち込めない大きなスーツケース1つ。もう手荷物の〆切は閉じているので、私が別行動して宅配便カウンターを見つけスーツケースを送るしかない。それから搭乗口に向かって間に合えばOK、間に合わなくてもまっすぐ搭乗口に向かった他の家族は間に合うだろう、という算段だった。
タクシーは素晴らしいスピードで走ってくれたが、宅配便のカウンターを探して手続きするまで結構かかった。

家族はまっすぐ搭乗口に向かったはずだし、何よりバスはさっき出たばかり。まだ遠くに見えるあのバスに間に合ったのでは?
「いや、家族は間に合った筈ですけど。あのバスに乗ってます(ぜえぜえ)」

係員がトランシーバーのようなものでやりとりしている。
「いえ、ワタベ様。やはりご家族が3Fのジェットスターカウンターでお待ちのようです」

「…マジすか」
何が起こったかわからないが、どうやら6名全員、フライトを逃したらしい。
1名分でもキツい航空券チケットの当日手配を6名分…。
1人5万として30万くらいか…。こりゃ来年分の旅費までふっとぶかも…。
事態を飲み込んだ瞬間、冷や汗が背中を1筋流れた。

携帯を見ると、着信が数件入っている。とりあえずカウンターに行かなければ。

ひきずるような身体で、検査口を逆に通る。
係員に「さっきはすいません、間に合いませんでした」と伝える。
無言で通してくれた。

宅急便のカウンターを再訪し、同じ事を告げてスーツケースを引き取る。
「きっと戻ってくると思ってたよ」と顔に書いてあるような表情で、無言で渡してくれた。
きっと、こういう人多いんだろうな…。

閉店間際の構内

閉店間際の構内


4ヶ月ほど前 ~3月26日 東京

3月終わり頃のとある日、ジェットスターのバーゲン情報が飛び込んできた。
値段はたいしたことなかったが、魅力的だったのは搭乗可能期間の長さ。
夏休みまでしっかりカバーされており、試しに8月の適当な日付で検索をしてみると、土日を挟むにもかかわらずバーゲン価格のチケットが余っている。5名で予約しても7万円台だった。

昨年の2012年は8月の同じような時期に沖縄の久米島に行っており、その際には羽田から久米島までの直行便で宿泊を入れて20万以上になってしまった。実はもうしばらく沖縄はいいかなと思っていたのだが、この値段で非日常の島にまた行けるなら…、それに他の観光地だってこのくらいの値段になっちゃうしな…。
思わず食指が動いてしまった。
去年の沖縄の評判は良かったし、LCCでの旅行は家族も初めてだし、いいかもしれない…。

折角なので、離島行きのプランを立てる。近場の離島と言えば慶良間諸島だが、渡嘉敷、阿嘉島は行ったことがある。ここは座間味がいいかもしれない。
ほぼ同時にフェリーを調べ、宿も目星を付けた。

ここまではきわめてスムーズだった。


8月8日 成田-那覇

台風の心配も無く、無事に旅行当日の8月8日になった。
1名追加で合計6名体制。往路の那覇行きは成田を朝6時15分発。車を使うしかなく、深夜に家を出て合流者を乗せ、成田に向かった。
成田周辺は駐車場だらけで価格も安く、3日間停めても3,000円程度。預け中に洗車してくれるサービスまでついている。LCC就航と共に早朝便も増えたのか、駐車場も混み合っていた。虫が水銀灯にガンガンぶつかる深夜、カウンターで車を預け、空港行きの乗り合いワゴンに。

便は定刻通り出発し、午前9時に那覇に着いた。
モノレールで市街地へ。予約しておいたワンルームマンションのようなホテルに荷物を預け、眠い目をこすって街歩きに出る。
モノレール
(ゆいレール)

この日は那覇に泊まり、明日9日から島に向かう予定をたてた。
那覇では国際通りを歩き、牧志市場をひやかした。
牧志市場
(牧志市場)

午後、最も暑い時間に首里城に向かう。この時期の日本列島は記録的な猛暑で、沖縄よりも東京の方が気温が高いという日も珍しくなかった。
しかし沖縄の暑さは格別で、気温から感じる印象以上の底知れない暑さを感じた。何か、日射しの強烈さが違う。
守礼門
(首里城・守礼門)

朝早かったこともありなかなかバテる。明日からのビーチにそなえ早めに寝た。


8月9日 那覇-座間味島/8月10日 座間味島

那覇、泊港を10時に出るフェリーに乗る。
チケット購入はクレジットカードが使えるようになっていた。
とまりん
(とまりん)

所要1時間の高速船(クイーンざまみ)もあったが、所要2時間でより安いフェリー(フェリーざまみ)のチケットを買う。この時期は1日1便で、往路の那覇発は10時発阿嘉島経由12時着、復路の座間味発は16時30分発18時那覇着
8月11日は21時までに空港に行けば良い、余裕だと思った。
(思えば、この時に良く時間を確かめておくべきだった)

何1つトラブル無く島に着き、早速ビーチへ。テレビで見るように美しい珊瑚礁と熱帯魚、白砂とウミガメの世界。
古座間味ビーチ
(古座間味ビーチ)

ホテルやスーパーもある久米島と違い、座間味は何もかも素朴でローカル。家族も満喫している模様。ああ、3月にチケットとっておいて良かった…、としみじみ思った。
夜
(夜の港沿い)


8月11日 座間味島-那覇

この日はいよいよ旅行最終日。
夜に那覇に戻り、21時のフライトで成田に向かうことになっている
那覇行きのフェリーは16時なので、午前からもう一度ビーチに行く。

レイトチェックアウトで、宿で海の砂を洗い流そうと思ったが繁忙期でできないとのこと。午後になりビーチのシャワーを使い着替え、島を離れる準備をする。

お盆シーズンと言うこともあり、フェリーざまみは混み合っていた。明日からは一層混み合うだろう。
8月8日に着いて4日間、台風も雨天も無く過ごせて幸運だった…。


同日 18時00分 那覇 

泊港、通称「とまりん」に定刻通り着く。
21時のフライトまでまだ間があるので国際通りを散策するか、それとも空港に向かってしまうかを協議。空港に向かう案で決着しかけたので、マンゴーシャーベットを食べながらWEBチェックインで印刷してあったチケットを何気なく見てみた。

「1850 那覇空港 国内線旅客ターミナルビル」

…?
はっと気づく。あれ?18時発?

なんということか、21時成田「着」を21時那覇「発」と見間違えていた!
3月にチケット買って以来4ヶ月もずっと…。
そもそも18時那覇着のフェリーじゃ間に合う筈が無い。

急いでマンゴーを一気飲みし、家族を呼んで表でタクシーを拾った。
6名が一気に乗れないので分乗。2台目はなかなかこなかった。マンゴーを噛み砕きながら運転手に事情を伝える。
このとき18時10分頃…。
のんきに食ってたら...
(のんきに食ってたら、この20分後全力疾走することになるとは…)


8月11日 19時00分 那覇

さて、結局フライトを逃したことが確定し、気持を切り替える。
搭乗口から検査カウンターを逆送し、宅配便を手配したスーツケースをひきとって3階のジェットスターカウンターに向かうと、家族が待っていた。

事情を聞くと、WEBチェックインして印刷した紙が搭乗チケットになるということが十分に伝えられていなかった模様で、空港内の人に聞くとチェックインを済ませるように言われてここで私を待っていたのだという。
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(さみしい夜のカウンター)

とりあえず、スマホにインストールしてあったSkyscannerで明朝の便を検索し始めた。
JAL便が4万台!
高いがやむを得ない…。4万×6名で24まんえん….

その時、カウンターの女性が声をかけた。
「明朝8:20の便に空席がございます、こちらに振り替えが可能です」

え?どういうことだろう。
確認してみると、どうも救済的な制度があるらしい。

それは、「到着遅延料」という内容だった。
ジェットスターのサイトにはこう記述がある。
日本国内線 料金および手数料一覧
jetstar

「通常の搭乗手続き終了時刻後で、予定出発時刻以前に搭乗手続きカウンターに到着した場合に適用されます。手数料をお支払いいただくことにより、予定の次の空席のあるフライトに振り替えが可能です。Starter MaxおよびBusiness Max運賃では、当日中であれば変更可能なため、手数料はかかりません。」

つまり、搭乗予定便に乗り遅れても、その便の実際の発時間(今回の場合は18:50)までにカウンターに行けば手数料を払うことで振り替え可能という制度だった。
この時まで、この制度のことは全く知らなかった。
手数料は一搭乗者あたり5千円、安い!
IMG_20140114_100115
(到着遅延料のレシート)

結果的には、カウンターに向かった家族の行動に救われたこととなった。
予約番号2つ分でも1万円。自分1人だけのチケットを買い直したとしても4万はかかっていた。
次回から約款はちゃんと確認しよう…。

そして、このような制度があるのであればジェットスターのオプション・Starter Maxは高くないなと思った(Starter MaxおよびBusiness Max運賃では、当日中であれば変更可能なため到着遅延手数料がかからない)。当日ギリギリの行動になっても振り替えが効く。もっともチェックイン〆切から出発時刻までというと国内線なら30~45分くらい、国際線なら1時間くらいの間にカウンターに着けばという条件なので、遅れが大きければ救済されるとは限らない。

ともかくも、振り替え手続きをし、その場でホテルを探す。
ジェットスターの係員はホテルの連絡先と値段一覧を渡してくれ、大変親切だった。
大人は明日から仕事予定だったため、必要な連絡をその場でしている。
子供はもう一泊増えて喜んでいた…。

結局ホテルはExpediaで予約した。日曜夜の突発予約ということもあり、ツインの広い部屋が通常価格の7割引と、あり得ないほど安かった。
もう腹をくくったので、ひたすらビールを飲む。
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(思いがけずもう一泊…)


8月12日 6時00分 那覇

今回は絶対に遅れることはできない。スマホのアラームを最大音量にしてとび起きる。
早過ぎるほど早めに空港に着き、チェックイン。
機内に入り、シートに座って昨日夕方からのドタバタを思い起こしようやく落ち着いた気持になる。
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(朝のフライト)

機内で沢木耕太郎氏のエッセイを読んでいると、中に「走らない男」という話があった。
空港で走る男はみっともない、という故伊丹十三氏のエッセイがあったが、沢木氏はいつもギリギリに到着して走る羽目になってしまう、という話だった。

いやー…、今回ほど空港内を走ったことはなかったね。

飛行機は定刻通り到着。
午後イチで出社するため、京成線の乗り場に向かってまたも走ったのだった…。

(了)