ミャンマー音楽紀行2018(その1)

ミュージシャン村上巨樹さんのミャンマー旅行記です。
(注:本事例は2018年2月時点の予約可能なプランおよび費用にもとづいています。)

Profile
村上巨樹

村上巨樹

1982年岩手県生まれ。ギター奏者/作曲家。te_ri/デストリオ/石割桜などのバンドで活動。放浪芸や職業芸の研究も行っている。自主レーベル「CADISC」主宰。

 2018年2月14日〜23日にかけてミャンマーに行ってきた。現地の音楽について調査するのが目的で、これで3年連続3回目。もはや個人的年中行事。
 ミャンマー音楽と一口に言っても新旧さまざまなスタイルがある。今若者に人気なのはヒップホップやEDM、しっとり歌い上げる系のボーカル曲だ。しかし自分が追いかけているのは土着の民俗音楽や民謡、そして40年以上前の大衆歌謡。こう言った昔の音楽には技巧に長けたミャンマー独自の奏法が使われているし、それらが西洋の要素(楽器や作曲法)と混ざった時の混沌具合は世界屈指だと思う。例えばこの映像。リズムが複雑すぎる。どう言うアンサンブルの仕組みなんだ?少しでも謎を解くため、時間の限り調査してきた。

2月14日(水)
 朝7時、宿泊先の浅草を出る。そこから上野へ移動し、京成上野駅から京成線に乗る。


 今回はスカイライナーは使わず特急を利用。節約したいので。7時28分、発車。9時成田到着。早速チェックインする。


 今回はエアージャパン(ANAの子会社)を利用。サービス面はANAとまったく一緒じゃないかな?過不足なく快適でした。そしてチケット代がめちゃくちゃ安い。早割とは言え直行便往復48000円って…。往復5万円台の経由便で毎回行ってた身としては悔しい!
 そして手荷物検査、出国審査をさっさと済ませる。ゲート近くでパソコンいじってたらあっという間に搭乗開始。11時離陸。


エコノミーなので、前の座席との間隔はまぁ普通。


 機内食は海の幸丼。これで日本食ともしばらくお別れか。
その後、適当なバラエティ番組を見たり寝たり。気が付くと「間もなく着きます」とアナウンスが流れる。あっという間の空路。

 無事、ヤンゴン国際空港に到着。飛行機を一歩降りた瞬間、むわっとした暑さが体にまとわりつく。同じ2月でも自分が住む雪深い町とはまったく違う。寒暖差で調子崩さないかな…。(結果、ミャンマー滞在中に具合が悪くなることはなかった)

 撮影禁止エリアだったので写真が無いけれど、入国審査カウンターの近くに入国カードを書く台があり、そこに日本語での書き方の例が表示されている。しかしこれ、翻訳が少々あやふやなので、ガイドブックなどを参照するのがベター。
 入国審査と税関をパスし、いよいよミャンマー入国。両替カウンターで米ドルからミャンマーの通貨チャットに変える。(ミャンマーでは日本円からチャットへの両替はほとんどできない)


 同じ米ドルでも高額紙幣と小額紙幣ではレートが変わる。できるだけ100ドル札を持参するのが良い。

 空港内のタクシーカウンターに行き、ホテルまでのタクシーをあてがってもらおうと思ってたら、カウンターに誰もいない。代わりに運ちゃんの客引きがしつこい。運ちゃん曰く「カウンターは17時に閉まる」とのこと。確かに今の時刻は17時半。でも本当?去年は普通にカウンター開いてたと思うんだけど。
 誰もいないカウンター前で首をひねっても仕方ないので、適当な運ちゃん捕まえて値段交渉。最初15000チャット(約1500円)と言われる。こちらはもうミャンマー3回目なので相場分かってる。結果12000チャット(約1200円)まで下げる。これでも少し高いんだけど。

 タクシーに乗って一路ダウンタウンにあるホテルまで。ここでヤンゴン名物の大渋滞に巻き込まれる。スムーズだとダウンタウンまで30〜40分で着くが、この時は1時間半かかった。運ちゃんと音楽の話で盛り上がったのがせめてもの救い。


 運ちゃんが「俺は彼の歌が好きだな〜」とこのCDをかけてくれた。ミャンマーを代表するロックミュージシャン・サインティーサイン。

 19時頃、ホテルに到着。ロビーでヤンゴン在住の写真家・兵頭千夏さんが待っててくださった。兵頭さんはビルマ語が堪能で、この後会うマンドリンの先生とレッスン内容について事前に相談してくださっていた。手伝って下さりありがとうございます。チェックインを済ませタクシーに乗り、マンドリンを教えてくださる先生の家に兵頭さんと向かう。


 コミンミン先生と自分。先生の自宅にて。

「マンドリンを習う」が今回の目的の1つだった。ミャンマーではマンドリンを使い古典歌謡を演奏するのがポピュラー。しかもそれがかなり独特な奏法。自分の作曲作品のヒントになりそうだと思い(もちろんそもそもミャンマーの古典歌謡が好き)、誰か教えてくれる先生を探していた。

 コミンミン先生はマンドリン好きだったお父様から影響を受け、幼少期から弾き始めたそう。マンドリンの他にボーカルやサンダヤー(ミャンマーピアノ)も教えているとのこと。レッスンの他に仏教祭事での演奏や、今時のポップスの作曲も行うマルチな人。

 兵頭さんに通訳していただきながら、早速レッスン開始。長年ギターは弾いているけれど、マンドリンは「弦を押さえる指先の位置」や「楽器を構える時の角度」がギターと異なるので、それに慣れるのが第一関門。一発で指にタコできた。また、ミャンマーの古典歌謡に楽譜は無く、未だに弾き方は師匠から弟子への口伝。脳味噌フル回転で先生のお手本を暗記し、3時間のレッスンはあっという間に終了。先生が「ホテルでも復習しなさい」と、マンドリンを貸してくださった。こりゃあ頑張らないと。


 レッスン終了後、兵頭さんと遅めの夕食。そう言えばヤンゴンに着いてからまだ何も食べていなかった。ミャンマーについてあれこれおしゃべりをしながら食事。


 タクシーでホテルに戻る。忘れないうちに早速復習。この日から毎日、睡眠時間を削ってマンドリンと向き合う。ヤンゴン滞在は残り5日。短い時間でどこまで習得できるだろう。

2月15日(木)

 絶賛時差ぼけ。1時就寝で4時半起床。パソコンを開いてミャンマー滞在中のスケジュールの確認と調整をする。今回は訪問先がかなり多く、またマンドリンレッスンが1日の大半を占めるので時間との戦いだった。「ゆったりとしたミャンマーの空気の中、あくせく動くのは粋じゃなかったな」と今にして思う。反省。

 朝9時、ホテルを出発。バスに乗り、先生の家に向かう。


 ヤンゴンの路線バスは、このアプリ「39 Bite Pu Yangon Bus Guide」を使うのがおすすめ。


 ビルマ語が読めなくて最初はちんぷんかんぷんだったけど、あちこちいじってたら使い方がわかった。現在地(例:サクラタワー)と目的地(例:ユザナプラザ)を入力し、画面下の緑ボタンを押す。画面右端の虫眼鏡マークを押すとGoogle Mapが開く仕様。場所の名前が分からなくても地図上にポイントを示せばオッケー。


 緑ボタンを押した後はこういう画面になる。中央朱色のマークはビルマ独自の数字。「何番線のバスに乗りなさい」と言う意味。ちなみに7番線。


 「何番線のバスに乗りなさい」の部分を押すと、実際の地図に切り替わる。Google Mapとリンクしており、点在する丸い緑はバス停。


 バス停を押すと、その名前が英語/ビルマ語併記で表示される。外国人にも優しい。


 画面右下のビルマ文字の部分を押すと、番号ごとの路線図が表示される。試しに青色の路線(1番線)を押すとこうなる。

 ヤンゴン滞在中はタクシーよりバスを積極的に利用した。それは圧倒的に安いから。ホテルから先生の家までタクシーなら片道3000チャット(約300円)だが、バスなら片道300チャット(約30円)。毎日往復するので、ここは節約しておきたい。ましてヤンゴンのダウンタウンは渋滞が激しいので、タクシーでもバスでもかかる時間はほぼ同じ。それなら安い方が良い。
以下、バスを使う際のポイント。

・バス正面の行き先表示部分に数字とビルマ数字が併記されている。これを頼りに何番線かチェック。ただ、ビルマ数字しか書かれていないバスがたまにある。
・アプリで表示された方向を外れることがある。あらかじめ運転手に目的地を伝えておくと安心。
・乗車はバス前方から、後者はバス後方から。
・降車ボタンはバス後方の出口にあるのみ。日本のように座席ごとには無い。
・運転席付近はお坊さん優先席。空いてたら座っても良いけれどお坊さんが来たら譲る。
・運賃は100チャット(約10円)〜200チャット(約20円)。運転席脇の運賃箱に入れる。お釣りは出ない。運賃が分からなかったら運転手に聞いてみよう。


 お坊さん優先席の表示(だと思う)。

 この時、バスが路線図と異なる道へ向かい焦る。慌てて降りたら見知らぬ港湾。仕方ないのでタクシーに乗り、先生の家に向かう。タクシー代2000チャット(約200円)無駄にした。


 この日のレッスンは10時から3時間。先生は基本ビルマ語+少しだけ英語を話し、自分は下手な英語しか喋れない。それでもミュージシャン同士ボディランゲージでどうにかコミュニケーションができた。昼食は先生がわざわざ出前を取ってくれた。一緒に食べながら密な時間を過ごす。
 この日もレッスンはあっと言う間に終了。「君覚えるのかなり早いね。だから明日からは別の曲やるから」と先生。えっ!?もう次いっちゃうんですか!?明日の楽譜をもらい、一旦ホテルに帰る。

 ホテル前でタクシーを捕まえて、郊外の音楽スタジオに向かう。明後日ヤンゴンの国立劇場で歌謡コンサートがあり、そのリハーサルを見学させてもらえる事に。


 見学に誘ってくれたテッアーカー君と。彼は民俗楽器「サインワイン」のプレイヤーで、コンサート当日に出演するそう。


 歌手一人あたり1〜2曲リハーサルをやっていた。終わったら次の歌手に交代。バックバンドは休まず演奏。こりゃ大変だ。歌手の友達がリハーサル風景をガンガン動画撮影しいく。バックバンドは大変そうだけど、外野の空気はなかなか緩い。テッアーカー君から当日のチケットを受け取り、ホテルに帰る。

フロントでランドリーサービスをお願いしようと思ったら「うちのは高いから近所にある洗濯屋がいいですよ」と勧めてくれた。節約できるのはありがたいけど、商売っ気無いのはどうなんだろう?ま、いいんだけど。


 洗濯屋へ。1.5日分の衣類が2500チャット(約250円)。確かに安い。「当日17時まで受付。翌日17時渡し」と言うシステム。そのまま歩いてチャイナタウンに行ってみる。なんでも旧正月のお祭りが開催中だそうで。


 チャイナタウンは歩行者天国でめっちゃ混んでる。あちこちに屋台が並び、みんなスマホで記念写真を撮っている。等間隔に並べられたぼんぼりが綺麗。


 チャイナタウンを通り過ぎ、ダウンタウンの中心にあるスーレーパヤーまで来た。元来の神々しさが照明により5割増しになっている。


ホテルへの帰り道、スーパーに寄る。CDコーナーがあったのであれこれ買う。店員さんに「レコード売ってる場所知ってます?」と聞いたら「多分ここにある」と地図を書いてくれた。ありがとう!あとで探しに行ってみよう。

2月16日(金)

朝5時起床。メールチェックしたりマンドリン練習したり。


 朝7時、ホテルで朝食を食べる。ホテルはヤンゴン川に近く、高層階からの眺めは最高。せっかくなので朝食を済ませて川沿いを散歩する。


 水上バスがあるようだ。


 荷下ろしするトラックが行き交い、朝から活気がある。


 小型船が川を往来する。


 犬。まだ眠そう。

 バスに乗り、先生宅に向かう。


 先生宅の近所で見かけた謎のリヤカー。どうやら托鉢を知らせる拡声器らしい。機能性以外全て削ぎ落としたようなフォルムだ。


 先生宅にて。この日から課題曲その2に突入。ミャンマーマンドリンは同じ6弦楽器であるギターとチューニングが全く異なる。それゆえドレミの位置も覚え直さなくてはいけない。曲を通じてようやくその特徴が体に染み付いてきた。

レッスン終了後、先生が「途中まで送るよ」と言って電動自転車で送ってくれた。強い日差しと少しの風の中、先生と笑い話をしながらヤンゴンの景色を眺める。なんだか青春時代に舞い戻ったようだ。先生は途中のバス停まで送ってくださり、そこからバスでホテルに戻る。少しだけ休んで、昨日会ったテッアーカー君が待っているホテルへ向かう。

ホテルのパーティー用フロアに行くと、ミャンマーの伝統楽器楽団「サインワイン」のセッティングが進められていた。今日ここで結婚式があり、テッアーカー君は演奏すると言う。


 サインワイン全体


 チャウロンパッ(横一列に並んだ打楽器)


 チーワイン(金属打楽器)


 サインワイン(円環状に並んだ音階打楽器。これ単体をサインワインとも呼ぶし、楽団を構成する全楽器をまとめてサインワインとも呼ぶ。)

 本当はセッティング中にテッアーカー君にインタビューを行い、その後のリハーサルを見学したかった。しかしなんだか忙しそう。「この場に部外者が居座るのは良くないな」と思い、「ごめん。迷惑かけたくないので先に失礼するね。あとでメールします」と言ってホテルを後にする。

 昨日スーパーのCD売り場の店員さんにもらった地図を片手にタクシーに飛び乗る。レコードを売っている場所を記した地図だ。運ちゃんに「ここまで行ってくれ」と伝える。しばらくして目的地に着く。しかしそこは大きな幹線道路があるだけで店らしき店は見当たらない。おかしいな、多分この辺だと思うんだけど。近くにある学校や露店、郵便局に聞くが、全員「この辺りに店は無いよ」と言う。結局2時間歩き倒したが収穫ゼロ。身も心もヘトヘト。
 最後の最後で付近のテレビ局に行ってみる。夕方のテレビ局は門が施錠されていて、敷地内に男性が一人いた。

村「あの、すみません。この辺でレコード探しているんですけど」
男「レコード?見たこと無いな」
村「そうですか。ミャンマーの音楽が好きで探しに来たんです」
男「へぇ。どこから来たの?」
村「日本から」
男「え!日本から!?俺オーケストラに所属してるんだけど、そこの指揮者日本人なんだよ」
村「それってもしかして山本さん?」
男「そう!山本さん!やっぱり有名なんだな!」

 そう言って男性は門の脇の壁をよじ登り、こちらにやって来た。山本さんと言うのは、ミャンマーのオーケストラを指導されている指揮者・山本祐ノ介さんの事。ミャンマーの音楽事情について片っ端から調べていて良かった。男性はそのオーケストラのトロンボーン奏者だった。
そこからは一気に意気投合。近所の喫茶店でお茶を飲みながら、お互いの国の音楽事情や好きな音楽についてあれこれ話す。


 ウンナッソー君と。

 レコードは見つからなかったけれど、新たな友達ができた。「来年また会おう」と言い、ホテルに帰る。

2月17日(土)

 朝10時、ホテルを出る。バスに乗って今日最初の目的地・ユザナプラザに向かう。ユザナプラザはヤンゴン郊外にある老舗ショッピングセンター。巨大なビルの全フロアに地元商店がひしめき合っている。ヤンゴン版アメ横と言ったところか。ダウンタウンにあるボージョー・アウンサン・マーケットも「アメ横みたい」と形容されるが、ユザナプラザの方が観光地化されていない印象。外国人ほとんどいないし。


 ユザナプラザに到着。「まぁどっかでCD売ってるだろう」と楽観視していたが、なんと1軒も無い。映画専門店が何軒かあったので聞いてみたら「ここにはCD屋無いよ」と言われた。まさか全滅なんて…愕然としながら帰りのバスに乗る。


 ダウンタウンに戻り、カセット屋を数軒巡る。ミャンマーにはCD屋とは別にカセット屋が存在する。自分が探している昔の歌謡曲は、カセット屋の方が断然打率高い。バッグに入るだけ買う。

 次に向かったのはレコードを扱っている店。ミャンマーでレコードはほとんど見つからず、扱っている店もほとんど無い。今日行った店も在庫あるにはあるけど20枚程度。とりあえず良さげなのを3枚買う。「明日か明後日も来るから在庫増やしといてほしい」と言ったら「オーケー。そうしとく」と店主。

 一旦ホテルに戻り、バスに乗って先生の家へ。

 到着すると、見知らぬ女の子とおばさんがいた。話を聞くと女の子はサンダヤー(ミャンマーピアノ)の生徒さんで、おばさんは母親。レッスンを受けに来たそうだ。たまたま自分と課題曲が一緒だったので、合同レッスンを行う。


 スィー(鈴)とワー(カスタネット)を構える図。ミャンマーの古典音楽ではこの2つがテンポを司る。

 この日のレッスンもみっちり3時間。沸騰しそうな頭のままバスに乗り、一旦ホテルに戻る。少しだけ休んで仲の良いカセット屋へ向かう。


 ここはヤンゴンでも老舗のカセット屋。毎年必ず訪問していて、今や仲良し。店番している娘さんに「化粧品買ってきて。お金払うから」とおつかいを頼まれていたのですそれを渡す。
 だがこの日は店を出る時間が迫っていてゆっくりしていられない。「ごめん、この後国立劇場に行くんだ。また明日か明後日来ます」と言うと娘さんが「じゃあ車で送っていくよ」と申し出てくれた。ありがとう、助かる。


 ダウンタウンの北西部に位置する国立劇場。今日はここでテッアーカー君が出る歌謡コンサートが開催される。「いつか現地のコンサートを生で見たい」と切望していたが、まさかこんなに早く実現できるなんて。


 ロビーにはアイスやレイを売る売店があった。


 客席からの1枚。みんなスマホ構えている。客席の埋まり具合は7割ぐらいだったかな。


 歌手とダンサー。写真右端にサインワインを演奏するテッアーカー君が映ってる。


 ミャンマーのアイドル。人形は観客からのプレゼント。


 ミャンマーのコンサートでは、歌手へのプレゼントをお客さん自ら登壇して渡す。プレゼントは花束、人形、レイなど。ロビーでレイを売っていたのはこの為。


 プレゼントを渡し終えると記念写真も撮れる。

 コンサートは2時間ほどで終了。ホテルに帰って就寝。

2月18日(土)

 朝5時起床。パソコンでメールチェックしてたら停電。そのせいでWi-Fiもストップ。ミャンマーでは停電が日常茶飯事で、空港などでない限り予備電源を持っていない。対処法は「諦める」のみ。結局30分くらいしたら復旧したけど。


 視覚障害者が施述してくれるマッサージ店ゲンキーに行く。経営者が日本人だそう。ボディマッサージ45分コースで6000チャット(約600円)。安い。ヤンゴンに来てからずっと動きっぱなしだったのでリフレッシュできた。

 そのまま徒歩でボージョーアウンサンマーケットに向かう。


 左奥に見える赤い屋根の建物がボージョーアウンサンマーケット。周辺は見事に建設ラッシュ。民主化の波を受けてものすごい勢いで都市開発が行われている。その反面、古いものが次々に無くなっていく。ミャンマーはここ数年が変革期だ。


 ボージョーアウンサンマーケットの隣にある大型ショッピングモール。新宿伊勢丹や高島屋のような雰囲気。CDショップが無かったので早々に出る。


 ボージョーアウンサンマーケット内にある楽器屋にて。ここには毎年来ている。中央が店長さんで、左は従業員。この店長さん日本語をしゃべれるので買い物がしやすい。友人から「楽器を買ってきて」と頼まれたので購入。

 ホテルに戻り荷物をまとめてチェックアウト。今日から2日間は別のホテルに泊まる。


 ホテル51はダウンタウン51番通りにある中級ホテル。その特徴は何と言っても日本語を話せるスタッフがいること。かなり心強い。ミャンマー旅行に不慣れな人におすすめしたい。部屋もかなり綺麗。毎回単独貧乏旅行なので若干気がひけるほど。


 タクシー目安表も日本語。


 薬や病院関係も万全。


 カップラーメンやキャラメルコーンも売ってる。


 バスに乗って先生宅へ。この日もレッスンをみっちり。写真中央の男性は先生の弟さん。警察官だそう。俺がギタリストだと伝えると「来年来た時はギター教えてほしい」と頼まれる。やりますやります!


 一旦ホテルに戻り、ライブを見る為ギャラリー「MYANM/ART」に行く。


 ミャンマー初の即興音楽/実験音楽のグループ「NOISE IN YANGON」の主催ライブ。ヤンゴン市内で不定期ながらライブ活動を行っていると言う。写真右奥に写っているのがリーダーのムジカ・テト。彼は昨年来日し、アジアン・ミーティング・フェスティバルに出演した。


 パーカッション/ヴァイオリン/エレキギターなどの各プレイヤーが、抽象度の高い持続音を鳴らし、互いに交錯していく。


 ライブは1時間半ほどで終了。ムジカ・テトと少しだけ話して会場を出る。


 ホテルに戻り、能町みね子さんと合流。能町さんもミャンマー音楽にハマっている一人で、この日から一緒に行動する。


 ホテルの近くに「今ヤンゴンの若者に人気のナイトスポット」があったので行ってみる。小さめのコンベンションホール風建物の中に飲食店やゲームセンターが並んでいる。ミャンマーのラウンドワン?


 最近できたばかりのようで、テナント募集中の張り紙を発見。ホテルに戻って能町さんと雑談して寝る。

2月19日(月)


 ホテルで朝食。久々の日本食が沁みる。まさかヤンゴンで白米と味噌汁を食べられるなんて!

 バスに乗りレコード探し。するとレコードを大量に発見。


 ミャンマーでレコードを見つけるのは本当に難しい。渡航3回目で遂に鉱脈にたどり着いた。興奮を抑えながら1枚1枚吟味する。割れてたり欠けてたりカビ生えてたり土付いてたり虫いたりとコンディションは最悪。それでもひたすら選別する。結果、買えるだけ買う。


 能町さんも購入。

 レコードが割れないように丁寧に梱包し、一旦ホテルに戻る。これを持ち歩くほどの勇気は無いので。


 ホテル近くのレストランで昼食。ようやくクールダウンできた。注文したのはカレー。中央のはミャンマーのナン?インドのナンより薄生地だ。

 ここからは能町さんと別行動。


 まずは書店へ。ミャンマーレコードの研究本をゲット。かなり分厚いので持ち帰るのが大変だった。でも嬉しい悲鳴。


 レコード本。ビルマ語表記なので全く読めないが、写真を眺めるだけでも十分面白い。


 おととい行ったカセット屋を再訪する。頼んでいたCDを買う。このお店は家族経営で、娘さんとお母さんと記念写真。お母さん喉の具合が悪いらしい。早く治りますように。


 ちょうどお客さんが来てたのでその様子を撮る。ミャンマーのカセット屋は注文が入るとパソコンで音源を焼いてくれる。この店では1枚2000チャット(約200円)。昔はオープンリールからカセットへダビングしていたけれど、今はCD-R一発。そしてこのやり方でアーティストにお金がちゃんと入ると言う。


 注文カタログ。客はこの中から選ぶ。ジャケはかつてのカセット時代のもの。


 次はヤンゴン唯一の私立音楽学校・ギタメイト。ここには毎年来ている。先生と会いインタビューを行う約束だ。


 昨年できた新校舎前。清潔さが保たれ、大切に使われているのがうかがえる。


 インタビューに答えてくれたサンダヤー(ミャンマーピアノ)の先生お二人。日本の文献には無い情報が次々と出てくる。一つ裏を取るたび、ますます熱が入る。


 記念写真。毎年CDや楽器を寄付しているんだけど、今年は主にジャズ/ジャズロックの名盤を渡す。写真に写っているのはマハビシュヌオーケストラ。

 続きます。