珍しい食材や一皿など、いわゆる奇食探しをライフワークとして内外広く飛び回ってきた大橋さん。
今回は釜山の観光名所としても有名な漁港・チャガルチ市場訪問記を2回に渡ってお届けします。
(注:本旅行記は2016年11月時点の記録です、写真はすべて大橋則夫氏によるもの)
大橋則夫(おおはし・のりお)
1976年愛知県蒲郡市生まれ。雑誌や書籍のコラム、企業ブログの執筆などいろいろと手がける。
旅とプロレスとお笑いと民芸品とゲテモノ食いと山登り←NEW!!が好きな馬鹿。
今回のゲテ食紀行はお隣韓国、釜山旅行の記録よりお送りいたします。
訪問したのは日本総領事館前に例の像が設置される直前、2016年11月中頃。
滞在したのが設置前ということもあってか、特に日本人ということで嫌な思いをすることは無かったですね。
まあ小難しい問題は華麗にスルーし、今回もゲテモノ食い一筋の旅です。食い物を食いに行くのにそんな野暮なこと言ってると、どこからともなく表れた井之頭五郎に、突然立ち関節決められるかも知れないですしね。馬鹿なこと言ってないで始めます。
(市場の背後の山には、釜山のファベーラと呼ばれるタルトンネの家並みが見える)
(市場のオモニたちのお召し物は主に赤やピンク。食品も赤だし全体的に赤で目が痛い)
今回の主な目的はタコの踊り食いとヌタウナギ、アメフラシ、後はテキトーという感じ。
釜山市内にある有名な海産物市場、チャガルチにやってきました。チャガルチは釜山のみならず韓国を代表する市場で、300以上の店舗が所狭しと並んでます。2006年に近代的なガラス張りのビルに建て替えられたとのことですが、地元の買い物客や観光客、片言の日本語を駆使して客引きする商店のおばちゃん、サングラスに金のブレスレットで武装したいかつい仲買人のおっさん、魚介類をぶん投げる荒くれ漁師など、異様な活気は昔から変わらないのでしょうね。
(築地で言うところの場内エリア。オラなんだかワクワクしてきたぞ)
(雑魚の類が床にブン投げられている。ウチワエビや深海系のグロテスクな魚の姿も見える。マイナー魚介類好きにはたまらない光景)
チャガルチは築地と同じく観光スポット的な要素もあり、たくさんの買い物客と観光客でごった返してました。11月というのになかなかの熱気です。到着が夕方というのもあってか、築地で言うところの場内エリアはすでに穏やかな雰囲気。僕みたいな観光客も気軽に入っていけました。木箱に入った高級魚と違い雑魚や規格外の魚は床に投げられ、かなりぞんざいな扱いを受けていましたが、そこもまた豪快というかおおらかで楽しい。
(人気者と嫌われ者が仲良く添い寝。ちなみに三重や三陸など、日本にもマンボウを食べる地方があります)
(エイの一種。激臭料理で有名なホンオッフェの材料にするのかな?)
(ヌタウナギを出す定食屋を探して、食堂の並ぶ一角を目指します。日本人観光客向けに、日本語の併記されたメニューや看板もちらほら)
ほどなくして、食堂の水槽でうにゃらうにゃらしている細長い物体を発見。ヌタウナギであります。ヌタウナギは厳密にいうと魚類でなく、円口類という生き物。生物が無脊椎動物かと脊椎動物に枝分かれした頃の早い段階で誕生した、生きた化石であり人類の大先輩なのであります。目の薬として有名なヤツメウナギに近いグループですね。その体からは名前の由来となった謎の粘液がぬたぬたと分泌されており、外敵に襲われた時のめくらましや捕食に用いられるとの事です。
(ぬたぬたのヌタウナギ。触手アニメAV好きにはたまらんかも知れませんね)
(無限に出てくるぬちゃぬちゃ粘液で、サメすら撃退するらしいですよ)
さっそくヌタウナギ(韓国語でコムジャンオ)の炒め物を注文し、実食してみる。ちなみに基本こちらの料理はコチュジャンかごま油の味で、続けて食べるのはなかなかヘビーです。肝心のヌタウナギはというと、ゴムみたいな強い弾力があり、身の歯ごたえもゴム同然。ゴムの様なホルモンの様なゴムって感じです。魚を食べてる感じは全くしないですね。身の味はというと、歯ごたえが邪魔してよく分らんけど、独特の苦みというかクセがあり僕は好きな方かな。
ただ、熱を加えると身が相当縮むらしく、中の筋肉が断面から外側にブリーン!と元気いっぱいに飛び出して気持ち悪く、エイリアンの幼生を思い出します。高温の油でさっと揚げたりした方が美味しく食べられそうな予感がしました。ただ、ビールとは恐ろしく合う味であることは付け加えておこうと思います!
~後編に続きます