バルト三国とポーランド・チェコをダッシュで行く その7

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評論同人誌サークル「暗黒通信団」の雑文書き。
貧乏ノマド独身。英語は苦手。好きな地域は中東の砂漠。元コミケスタッフ。コテコテの理系。自称高等遊民。
詳しくは http://ankokudan.org/d/d.htm?member-j.html

その1その2その3その4その5その6

クラコフからチェコのプラハまでは鉄道で数時間程度なのだが、終盤にもなれば日程に少し余裕が出てきたから、少し色気を出してスロバキア共和国によってみることにした。公共工事が年度末に集中するのと同じ理屈である。本当はカルスト地形で有名なバラドラ鍾乳洞に行ってみたかったのだが、ブダペストからバスで行く以外にまともなルートがなくて断念した。

途中駅Bohuminにあったマニ車式ダイヤグラム

そもそもブラティスラバ(Bratislava)なんていう街を誰が知ってるのだろうか。

その昔チェコ=スロバキアが分裂したとき、スロバキアの首都になった。規模はプラハよりも遥かに小さく、バルト三国のように旧市街がまるごと世界遺産になっているなんていうこともない。街の真ん中をドナウ川が貫いており、すぐ上流はウィーンである。だいたいウィーンとのあいだにウィーン国際空港があるので、狙ってくるなら、鉄道支線を乗り換えるより空港からバス1時間で乗り付けたほうがはやいだろう。要するに観光向きの街ではないのだが、敢えてそこが良いというツウには心落ち着くところに違いない。

ブラチスラバ中央駅。日本のセンスだと新幹線が止まらない地方都市みたいな

中央駅を降りて、翌朝のプラハ行き切符を手配し、荷物をひいて坂を下っていくと、途中に警備員すらいない大統領官邸があり、その先の交差点に宿があった。

大統領官邸。駅から徒歩10分

Hostel Folksといってbooking.comの評価は9.5、お値段一泊1700円である。そのくらいの物価の国である。宿のフロントに、いわゆる三猿の絵があったので誰が描いたのか聞いたら、オーナーの知り合いの画家に描いてもらったらしい。ちなみにネタ元は画家も知らないという。まぁUnicodeの絵文字になってるくらいは国際認知されているのだから、それもありかもしれない。総じてなかなか快適な宿であったが、くつろいでばかりもアレなので荷物をおろしてカメラ片手に観光に出る。

宿にあった「三猿」

とりあえず宿に沈没して夕方になってしまったので、街のシンボルのUFOタワーを眺めつつ、ブラティスラバ城へ登った。案内マップがヘタれていてルートがよく分からなかったが、とにかく上に向かってずんずん進めば、お城らしいところには出たので良しとしよう。よく手入れされた白い庭園が実に王宮らしい。

ブラチスラバ城

そのお庭

おりて今度は「青の教会」を目指す。デザインがメルヘンなだけの教会なのだが、それはそれで珍しい。内装も青と白で統一されていて、お菓子の家みたいである。なかなか女子力高めであるが、全く女子らしい個体は確認できなかった。ちょうど夕方の礼拝どきで人がたくさんアーメンしていたので、一緒に参拝しておいたが、なんとも地域密着型の教会で、礼拝が終わると神父も衆生もさっと散ってしまい、早々にドアが閉ざされた。

青の教会。メルヘン全開

中も妙に女子力高い

それで路頭に追われたので、夕食は散策中に見つけた札幌ラーメン「和」である。どのみち肉に飽きてそろそろ東洋料理が食べたいと思っていたところだったから、見た瞬間に胃袋を掴まれた。若い日本人夫妻がやっているお店で、もちろん注文も日本語でOKだ。スロバキアの通りに漢字のみの看板を出して、誰が理解できるのかと思ったら、店内には結構な数の日本人がいて、ちょっとした社交場となっているらしかった。

多分現地の人はだれも読めないラーメン屋の看板

値段は決して安くはない。ノーマルの醤油ラーメンでも11ユーロというのはなかなかの料理だ。

メニュー。もちろん安くはないが…

札幌を標榜している以上、味噌ラーメンを頼まねばならないと思ったが、味は確かに日本のラーメンそのもので美味かった。材料入手が大変そうな地での努力作である。近くにウィーンという大都市があるものを、なぜわざわざここなのかとは思ったが、逆にこういうのが穴場なのかもしれない。

日本国内と味も変わらないラーメン

勢いで宣伝してみる

珍しく酷い目にあっていないのは、つまり無茶な観光をしてないというだけのことである。ここでパスポートを落としたり、寝坊して列車を逃したり、呪われたどしゃぶりに遭遇すればネタになるのだが、今回は運良くそれらを回避した。次回、最終回プラハである。

まちなかのオブジェ。アイスクリーム屋なのは分かるが食欲が……

中欧らしいセンス