tabinoteワタベです。地味にアクセスを稼いでいる「世界の街を走ってみる」シリーズの特別編として、アメリカの「第123回 ボストン・マラソン」参戦記をおとどけします。
「世界の街を走ってみる」シリーズ
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ボストンマラソンとは
ボストン・マラソンの歴史は1897年(明治30年)にさかのぼり、世界でも最も歴史のあるスポーツイベントの1つと言われています。女性ランナーや車椅子ランナーに対して最初期に門戸を開いたレースとしてステイタスも高く、ニューヨーク・シカゴ・ロンドン・ベルリン・東京とならぶ世界6大レース(ワールドマラソンメジャーズ)の1つに数えられています。
例年4月の第3月曜日(愛国者の日)に開催されるこのレース。一般的な市民マラソンと異なり、性別・年齢ごとに設定されたシビアなタイム基準(ボストン・クオリファイ)をクリアしないとエントリーすらできず、努力を積み重ねたランナーしか参加できないことから「選ばれしもののマラソン」と称されています。「ボストン・クオリファイ」を乗り越えスタート地点に立つことは世界中の市民ランナーにとってあこがれとなっており、「ワールドマラソンメジャーズ」の中でも特に栄誉ある、別格の位置づけにあると言えます。
ボストンの人口は70万人弱。レース当日の市街中心部は約3万人のランナーとその家族であふれかえり、祝祭ムード一色に染まります。
特徴はなんといっても起伏の多い独特のワンウェイコース。「心臓破りの坂」(Heartbreak Hill)と呼ばれる約30km地点の上り坂は世界的に知られています。
日本人とのゆかりも深く、かつて瀬古利彦選手が2度優勝。2018年大会では吹雪舞う極寒の天候を制して川内優輝選手が優勝し、話題となりました。
エントリー方法
ボストン・マラソンにエントリーするためには、各国の陸上競技連盟によるフルマラソンの公認レースで、性・年齢ごとのタイム基準(ボストン・クオリファイ)を上回る成績を得る必要があります。2019年の場合、男性45歳は3時間25分、女性の場合は3時間55分が基準となっていました(2020年はそれぞれ3時間20分、3時間50分と高速化しています)。
実際にはタイムが速いほど優遇されるようになっており、クオリファイよりも20分速い記録があれば先行エントリーが可能です。基準タイムギリギリの場合は抽選となり、出走確率は低くなります。
このほかにも少数ですが一定の寄付金を納めることで参加可能なチャリティー枠やツアー参戦などの枠があり、シリアスランナー以外にも門戸が開かれています。
私は昨年の陸連公認レースでクオリファイをクリアしていたので、そのままエントリーしてみました。エントリーが通って参加確定のメールを受け取ったときは、それはもうれしかったすね。ひんぱんに主催団体のBoston Athletic Association(BAA)からニュースレターが届き、ムードが上がってきました。
レース前日
レース前日にボストンのローガン空港に降り立った私。空港もランナーを歓迎しています。
中心部から少し離れたサマービルという住宅街に宿をとりました。このあたりまで来るとそれほどイベントの空気は感じられませんが、フィニッシュコースである市街中心部はレースの雰囲気一色!テンションがあがります。
マラソンのナンバーを受け取る会場はハインズ・コンベンションセンター。こんな感じでナンバーと参加賞のシャツを受け取ります。
ボストン・マラソン(BAA)のモチーフはユニコーン。会場の多くの人がユニコーン柄のオフィシャルジャケットを着ています。イメージカラーは青と黄色。なかなか日本人が着こなすのは難しいですね…。
同時にランニング・EXPOが主催されており、応援ボードが展示され、多数のスポーツメーカーが展示を行っていました。
海外でいつも思うのはジェルやサプリメントの安さ。現地で1ドル~3ドルで売っている糖のかたまりが日本では300円や千円もするのは不思議なことであります。
EXPO近くでは昨年優勝者(自動的に本年の招待選手)のトークイベントが行われていました。川内選手は少し話すだけで爆笑をかっさらい、完全にヒーローです。その日の夜に見た地元ニュースもマラソンと川内選手の話題でうめつくされ、マラソンにかける地元愛をつくづく感じさせられました。
制限時間内に首尾良くゴールできれば、明日このゲートをくぐることになります。
こちらは2013年に起きた「ボストンマラソン爆弾テロ事件」のモニュメントらしきもの(モニュメント跡?)。2013年のレース時に起きたこの事件、5名が死亡、299名が負傷するという大惨事となりました。現場は本当にゴール間際で観衆も大勢いそうな場所であり、このような場所でテロが発生した事に驚かされます。
レース前日にはオフィシャルスポンサーのアディダスが主催する無料のプレ・レースパーティーが催されていました。いわゆるレース前にエネルギー源の炭水化物をガンガン食いましょうというイベントで、パスタが山盛りに出るらしいです。私も予約していたのですが、会場の建物を一周するほどの長蛇の列だ聞いて断念。普通にピザや日本から持って行った餅を食べました。
(後半に続きます)