「タビノート」下川裕治:第12回 ユナイテッド航空のバンコク線が運休する

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shimokawa

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)

1954年、長野県松本市生まれ。旅行作家。新聞社勤務を経てフリーランスに。『12万円で世界を歩く』(朝日文庫)でデビュー。アジアと沖縄、旅に関する著書、編著多数。『南の島の甲子園 八重山商工の夏』(双葉社)で2006年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著に『沖縄にとろける』『バンコク迷走』(ともに双葉文庫)、『沖縄通い婚』(編著・徳間文庫)、『香田証生さんはなぜ殺されたか』(新潮社)、『5万4千円でアジア大横断』(新潮文庫)、『週末アジアに行ってきます』(講談社文庫)、『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)がある。
たそがれ色のオデッセイ BY 下川裕治

 最近、ユナイテッド航空にしばしば乗っている。11月には3回も乗ってしまった。
 僕は成田とバンコクの間を往復することが多い。航空券は原則、バンコクで買っている。LCCを乗り継ぐ方法が最も安い。いまのところ、クアラルンプール乗り換えのエアアジアかシンガポール乗り換えのスクート、フィリピンと関空経由などがある。どれも時間はかかる。
 それ以外の航空会社で、比較的安い航空会社、そしてマイレージということを考えていくと、ユナイテッド航空に傾いていってしまうことが多いのだ。
 日系航空会社によく乗る人が、「ユナイテッド航空のサービスレベルは低い」というが、僕には気にならない。もっとひどい航空会社に乗ることが多いからだ。しかし運航スケジュールがいいわけではない。成田を夕方出発して夜の11時台にバンコクに着く。バンコク発は朝の6時台になることが多い。午前3時起きを強いられる。
 ユナイテッド航空のバンコク線の運航が来年の3月でとりやめになるそうだ。
 ふと思いたって、ライフタイム・フライトマイルというものを見てみた。これまでどのくらいユナイテッド航空に乗ったのかという記録である。100万マイルを超えると、特典が生まれるらしい。
 その数字は34万マイルを超えていた。これには、スターアライアンスに属する航空会社の搭乗マイルは加えていないようなので、単純にユナイテッド航空に乗った距離になる。僕の場合は、そのほとんどが成田―バンコク線だろう。
 34万マイル……。
 溜息が出てしまった。成田とバンコクは往復で5800マイル弱。計算すると60回ほど往復していることになる。
 実際はほかの路線も乗っているから、まあ、50回以上といったところだろうか。
 よく乗ったものである。
 これだけ乗っているのに、印象が濃いわけではない。1回、突然、ビジネスクラスにグレードアップしたことがあった。クラスが変更になったのは、その1回だけだ。
 3.11以降、セキュリティはかなり厳しくなった。
 シルバーというステイタスの会員で、やや広い席を利用することができるが、それもあいていればの話である。マイルの積算率もやや高いが、僕の貯めるマイルは家族が使うことが多い。
 大きな期待もしていない。そのあたりの感覚を共有していた気もする。飛行機というものはそれでいいと思う。50回以上乗り、そのくらいはわかってきた。
 これからもバンコクと往復することは多いだろう。やはりLCCに流れていくのだろうか。そんな予感もするのだが。

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成田空港の第1ターミナル。ユナイテッド航空の存在感は大きい