※特別企画「エアアジアで行く!ASEANパスで東南アジア周遊」。前回はこちらです。今回は実際の旅行記となります。
旅程づくり
さて、15年7月現在エアアジア(エアアジアX)の首都圏発着路線は羽田-クアラルンプール便、もしくは成田-バンコク便となっているため、クアラルンプールもしくはバンコクが起点となることが多いかと思います。
今回筆者はとある事情でタイのチェンマイに行くこととしたため、チェンマイ発着の周遊ルートを手配しました。
スケジュールとルートは下図の通りです。
日付 | 便名 | 出発地 | 到着/滞在地 | 発時 | 着時 | 滞在時間 | ASEANパス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
7/2 | D7 523 | 東京・羽田 | クアラルンプール | 7/2 23:45 | 7/3 6:10 | 8:38 | (エアアジアX;対象外) |
7/3 | AK 856 | クアラルンプール | チェンマイ | 7/3 14:48 | 7/3 16:20 | 40:50 | (対象外) |
7/4 | チェンマイ | 20:35 | |||||
7/5 | AK 855 | チェンマイ | クアラルンプール | 7/5 9:10 | 7/5 12:50 | 20:25 | 1クレジット |
7/6 | QZ 551 | クアラルンプール | バリ | 7/6 9:25 | 7/6 12:30 | 3:45 | 3クレジット |
7/7 | QZ 520 | バリ | バンコク | 7/7 8:55 | 7/7 12:00 | 16:10 | 3クレジット |
FD 3431 | バンコク | チェンマイ | 7/7 15:45 | 7/7 17:00 | 1:30 | 3クレジット | |
7/8 | AK 855 | チェンマイ | クアラルンプール | 7/8 9:10 | 7/8 13:00 | - | (対象外) |
D7 522 | クアラルンプール | 東京・羽田 | 7/8 14:30 | 7/8 22:30 | - | (エアアジアX;対象外) |
3日間でクアラルンプール、バリ、バンコクの3都市を巡ってチェンマイに戻るとちょうど10クレジット使い切りました。
しかしその代償は過激なスケジュール。
比較的ゆっくりできた7/3~5のチェンマイ滞在ですら思い起こせば実質2日程度。7/6のクアラルンプールは20時間、翌7/7のバリも滞在20時間、さらに翌7/8チェンマイはわずか16時間。1都市平均1日未満という、訪日中国人バスツアー並みの弾丸行程となりました。
当初はこんなに弾丸となる予定はありませんでした。バンコクやプーケットを周遊するつもりだったのですが空席がなく、プーケットの代わりにビーチリゾートのバリを組み込んでみた次第です。やはりバリは遠いので滞在の余裕もその分無くなる始末…。
今回、旅行にあたってはガイドブック、地図を持ちませんでした。単にめぐる場所が多くて買うのがもったいなかったからですが、私にしては初めてのことです。結果的に、それが予想もつかない面白さにつながりました・・・。
7/3~4:チェンマイ
tabinote田口が居を構えていることもありずっと行きたかったチェンマイ。
聞けば寺の多い古都で、寺院巡りのほか山深い北タイの自然をめぐるトレッキングも人気だという。
(こちらのtabinoteガイドもご参考:「世界あの街この街 チェンマイ」)
雨季でトレッキングの時間もないと思っていたので、旧市街を歩き回ることにした。
チェンマイの街は一辺2km弱の堀で正方形に囲まれた旧市街と、堀の外に拡がる新しいエリアから成り立っている。新市街にもいくつかのおもしろそうなエリアがあるが、観光客がまず訪れるべきは旧市街。
空港に着いた時点ではや夕方。タクシーで宿にチェックイン。今回泊まったのは旧市街のお堀の外、北東すぐに位置するホテル。Expediaで2泊3000円と激安だった。
入ってみると広い!ゲストハウス以下の値段でエアコン付きのこの部屋なら大変お得な気分。
旧市街まで徒歩3分程度、セブンイレブンもホテルのすぐそばで環境もばっちり。
さて、ホテルから出て夜の旧市街を歩く。
旧市街を半周し、西側のターペー門という賑やかなエリアへ。そのまま堀の外のターペー通りへ出て休憩。
この暑さの中をランニングしている人がいる。確かにお堀沿いは周回コースとしてもってこいだが、空気がそんなにきれいともいえないし…。そういえばアジアで現地の人が走っている姿というのはこれまで見た記憶がなかった気がする。チェンマイが文化的に成熟していることを実感。
公園にも身体を鍛えている人がこんなに!
堀の中に戻りまたぐるぐる半周。
なぜこんなに歩いたかというとSIMを入手したかったからなのだけど、あいにく到着が遅かったこともあり開いている携帯ショップが見つからず…。結局ホテルでもらった紙の地図だけで堀の中の主だった通りを歩き回る。10kmは歩いたんじゃなかろうか…。
夜だが暑さで参ったので、食事。まだまだ明日は長い。
チェンマイ2日目。朝イチでSIMを入手。
午前中にチェンマイ在住の知人と待ち合わせて珍しい北タイ料理の店に連れていってもらう。メニューは日本で見たことがないようなものばかり。おいしゅうございました。
午後、知人と別れ散策。
昨晩歩けなかった通りを歩き、旧市街をほぼ把握。
暑い…。
もう夕方近くなっていたが、バイクを入手し郊外のショッピングモールに出かけることにする。目的地は14年にオープンしたばかりという最新のモール「セントラル・フェスティバル」。
バイクを借りたのが15時。店は19時に閉まるとのことで、4時間で帰らなければならない。多くのレンタルバイク屋はパスポートを預かると聞いていた。たしかネパールでもそうだった。預けてしまうと、もし返却が閉店時間に間に合わなかった場合、翌朝早くのフライトに乗れなくなって非常に困るので、遅れても開けておいてくれと念を押す。
チェンマイの道路は一方通行が多く、地図の通りに行けない箇所がかなりあってなかなか思うようにいかなかったが、なんとかたどり着く。
外資系ブランドやレストラン街など、バンコクやクアラルンプールにあるような最新のモールだった。
tabinote田口も気になっていたというロボットレストラン(新宿のアレと同名)を発見。鉄板焼きとしゃぶしゃぶのビュッフェという独りでは非常に入りにくい店だったが、仕方なく中へ。
旧市街中心の散策では日本人も日本語の看板もそれほど見かけず、あまり日本を感じることがなかったが、このモールは違った。レストランの日本食率が高すぎる。現地のなんちゃって日本食レストランも入れると8割くらい日本食屋では、という勢い。日本食のこの競争力の高さはなんなんだろう。
バイクを無事時間内に返して夕飯。明日は早いので早めに寝ることにする。
7/5:クアラルンプール
今日はクアラルンプールへ向かう日。
2日前にクアラルンプールの第2ターミナルKLIA2で8時間も滞在したばかり。クアラルンプール-チェンマイ間のフライトは4時間と意外に長く、乗る前から疲れた気分。
フライトは9時。一応国際線なので2時間半前に向かうとして6時半をめどに空港へ。
4時間の搭乗を経てようやくクアラルンプールへ
KLIA2から高速鉄道のKLエクスプレスで市街に出る。KLIA2は市街から50kmと離れているが、KLエクスプレスなら市街中心部のKLセントラル駅までわずか33分、片道35リンギット(700円)。
KLセントラルからさらに在来線に乗り換えて1分(運賃1リンギット)、クアラルンプール駅へ到着。
クアラルンプール駅から歩いてチャイナタウンへ。今回はここに宿をとっていた。
明日朝もやはり早いのでKLセントラルに近いエリアに宿をとろうと思ったのだが、結果的に正解だったと後でわかる。
部屋はチェンマイの半分以下の面積で値段は倍以上。まあ仕方ないですね。
チェンマイで見るべきは旧市街。それではクアラルンプールは?
それはモールだ!
「またか!」という声も聞こえてきそうだが、実際クアラルンプールはアジアきってのモール天国。モールを除けばモスクといくつかの移民街くらいしか見るところがないのです…。今回は滞在わずか20時間なので、タクシーを使いまくって繁華街へ直行することにした。
喧噪のチャイナタウンを抜け、東京でいうと銀座・新宿にあたる中心街のブギッ・ビンタンへ。
巨大モールとして有名な「パビリオン」。やはりでかい!
ここで豪華な食事をとる。伊勢エビが乗った麺。1800円くらい。大変おいしゅうございました。
レストラン街、洋服、家電、食品まで一通り見物。
ここでも日本食の競争力は健在。
このフードコートは、香港やシンガポールでも多数の施設を運営する「Food Republic」によるもの。無数の席が客で埋まり、活気にあふれていた。
つづいて、こちらも威容を誇る「ベルジャヤ・タイムズスクエア」へ。
でかいけど…結構古い感じ。
最上階はドンガンも真っ青のゴーストっぷりでした。
一通り見た後に、KLCCという別の地域へ向かう。
目的は、ペトロナスツインタワーとそのふもとのモール。
ツインタワーは外壁を鋼板で覆っているため、光が反射してとにかくピカピカ。
夕方になって人が増えてくる。この時期はラマダーン(断食)のようで、日が沈んでから食事に出る人が多い。
人人人。
tabinote田口から、タワーの展望カフェは結構いいと聞いたのでチケット売場へ。ツインタワーの展望台は入れ替え制。やっと入手できたのは最終20:30のチケットで、値段はなんと89リンギット(3000円)、高い!
入手後、タワーはタワーでもツインタワーじゃなくてKLタワーだと知る。あれれ、せっかく大枚はたいたのに…。
(参考-KLタワー画像:menarakl.com.my)
モールは伊勢丹が入っている高級商業施設。
チケットのもとをとるべく、20時半にタワーの入場ゲートへ。
エレベーター搭乗前。係員がタワーのすばらしさをいちいち芝居がかって説明する。
とりあえず夜景を堪能。独りで展望台に行ったのはこの回私だけでした。
宿に戻る。チャイナタウンで一杯…と思って店に入り声をかけると、店員だと思っていたのは単なる暇なおっさんだった。
旅先でよく聞く「暇なおっさん/おばちゃんにつかまっちゃった」事件に私も遭遇。閉店までずーっと話し込まれて帰れない。勘弁してよ…。
やっと振り切ってコンビニに入ると再遭遇!ホラー映画のようでした。
今回、地図無しでチャイナタウンやブギッビンタンの位置関係をだいたい知っていたのは、「世界あの街この街」を見たからです。ちゃんと役立つよ!
(参考:「世界あの街この街 クアラルンプール」)
7/6:バリ
今日はバリ。実は私、バリもインドネシアも初めて。
朝、タクシーを適当に拾ってKLセントラル駅に向かおうと思ったが、前夜チャイナタウン付近にあれだけたむろっていたタクシーが居ない。やばいなと思いつつ大通りへ出て、やっと一台つかまえる。運転手がふっかけてきた値段は少し高かったが、駅まで大して遠くないのでたかがしれていた。交渉も面倒なのでそのまま乗車。駅近くに泊まっておいてよかった…。
バリ島といえば興味をもっていたのが中部の古都ウブドや北部の高原地帯。
(参考「世界あの街この街 ウブド」)
あいにく20時間しか居れないため、空港近くの繁華街クタかジンバランで宿を探した。クタの方が繁華街のスケールは大きいものの、私の場合歩き回ってしまって散漫になりそうだったので、今回はジンバラン滞在にした。
日本人はこの6月からインドネシアの短期観光ビザが免除となったため、イミグレの行列を華麗にスルー。
タクシーで宿へ。激しい渋滞でわずか数キロの道なのに30分もかかる。バリは十字路を嫌う(魔物が通り過ぎる)からT字路が多く、渋滞しやすいそうな。
今回の旅では最高の宿、とはいえ一泊4000円くらい。広くてきれいな上にWiFiが爆速。いろいろはかどった。
宿からすぐにビーチがあり、海岸沿いには魚を炭火で焼いて食わせる店が並んでいるという。
ビーチを歩いてみたが…、日射しが強烈すぎて歩けない。市街地(というほどの規模ではないが)に戻って通りを歩くことにする。
結局結構歩いてしまった。
南半球に来たのははじめて。南十字星が見えるかと思ったがわからず。
バリの街は、赤い瓦屋根の建物がなんとなく沖縄を思い起こさせた。
ただ、今日歩いたジンバランのあたりに関して言えば、海は沖縄の方がだんぜんきれいかな…。
暑さにやられてこの日は早めに就寝。
7/7:バンコク~チェンマイ
翌朝、早起きしてビーチ沿いにあるという魚市場へ。
6時頃着いたが、すでに最も活気のある時間は過ぎていた模様。
宿に戻り素早く荷造りし、空港へ。結構インドネシア・ルピアを使い切れず余ってしまった。
今日はバンコク・ドンムアン空港へ行き、その後チェンマイに戻る予定。
ドンムアンでの乗り継ぎ時間はわずか3時間なので市街に出ることは不可能。
空港で過ごすか…、と思っていたところ検索してみると、近くにモールがあるらしい。
タクシーで向かってみた。
ラクシーITスクエア ( Laksi IT Square ) という家電中心のモールで、アキバにありそうな雑多な品揃え。ここ数日最新鋭のモールを見てきた目からするとまあショボい。
ショボいが、ドンムアンですごすよりははるかにマシだった。なぜかやたらに気合いの入ったフードコートで、いいテナントも入っていた。
ひととおり冷やかした後でタクシーをつかまえ空港に戻る。渋滞がなければだいたいドンムアンから5分程度。
そしてチェンマイへ。
ここ数日の移動がきつかったため疲労もたまっていた。穏やかなチェンマイで回復したい。アジア諸都市の中でも、チェンマイのリラックス感というのはかなり上位だと思う。街が適度にきれいで、食べ物がおいしくて物価が安い。夜中1人で歩いても安心。これはまた来ないとな…。
(参考「それでもチェンマイに行き続ける6つの理由」)
チェンマイ到着。そしてこの旅行も最終日。
16時間後には再び空港へ戻らなければならない。
空港から徒歩距離にあるモール、「セントラル・エアポート」を眺めてお土産を買い、タクシーで宿へ。この日は旧市街の外、ナイトマーケット近くの宿をとった。でかい!2部屋あって面積も軽く50m2はある。これで3000円もしない。チェンマイの宿代は異常に安い。やっぱいいなぁ。
7/8:帰国
早朝空港に移動し、またまたまたまた何度目かって感じでクアラルンプールへ。
帰りの羽田便ではESO(Empty Seat Option)という座席一列占有権が当選しゆっくり過ごせた。実は往路もバッチリESO当選。日頃の行いっ…。
夜23時、無事に帰国。
今回のASEANパスの感想ですが…、知らない街の周遊は楽しい!
ガイドブックも持っていかなかったため、想定外の事柄に出会うライブ感みたいなものが半端なくありました。
私はリゾートであまりゆったりできないタイプ。短い時間で行き先や行動を決め、その通りに達成できるとテンションが上がります。
この3日間は濃密で、ホントに上がりっぱなしの旅でした。
余談ですが、私がバリから離れるわずか2日後の7月9日に東ジャワのラウン山が噴火し空港は閉鎖。12日まで閉鎖がつづき、ちょっと日程がずれていたら数日バリで足止めをくらっていた模様です(最近でも不定期に噴火がつづいているようです)。
東南アジアの旅行における新しい選択肢となったASEANパス。弾丸で使うもよし、30日の有効期間をフル活用するもよし。片道チケットを組み合わせれば相当な選択肢が広がります。
皆さんもパスを使いこなして、どうぞよい旅を。