明日を夢見る芸術家の卵達がシノギを削る、世界最大の複製画生産拠点
深セン…。
人口1,500万にも迫る中国有数の大都市でありながら、ほとんどの人が大したイメージを持っていないのではないでしょうか。
かのダン・シャオピン(鄧小平)の号令により1979年に経済特区に指定され、「世界の工場」としてバンバン外資を誘致、ビルのそびえ建つ近代的な都市に変貌を遂げました。
ただし、都市としての歴史の厚みがあまりないせいか、見どころはほとんどなく、商用以外ではほぼスルーされてきたのも確か。
せいぜい広州や香港のチケットがとれなかったので仕方なく深セン空港発着を使ったとか(※1)、香港やマカオツアーのおまけとか、香港滞在者の買い出しとか、あまり積極的に訪れる場所とは思われていません。
一番の見どころとされるのが「世界の窓」という世界中の史跡や有名建築を再現したもの(東武ワールドスクエアの豪華版…)というのも寂しい限り…。
そんな深センの印象を一変させる見どころが、世界の複製画の6割(一説には7割)を占めるという一大複製画スポット、大芬(ダーフェン)村。
一時期流行った食玩を見ればわかるとおり、人海戦術を駆使して安く大量のハンドメイド品をつくるのは中国が得意とするところ。
大芬村は、中国中から大量の画家の卵・複製画絵師を集め、数万数十万枚というオーダーで複製画を「製造」する一大工場です。
村はあちこちが画廊(※2)のような卸のような絵画店で占められ、世界中からホテルやレストランなどに飾る絵を大量に買い付ける業者が押し寄せます。
もちろん個人でも購入可能。「モナリザ」も「ひまわり」も売ってます。
ピカソは没後50年経っておらず、著作権が切れていないため売ってません。ここで売っているのは「複製画」であり「贋作」ではありませんので、税関でビクビクする必要もありません。
画家の卵が集まり作家が育つ街でもあるので、ちゃんとした美術館もあります。
商売をしている方なら受付にでも、個人の方ならリビングにでも、手ごろな一枚を探しにいかれてはいかがでしょうか。
【サンプル旅程】
・深セン直行でも、香港経由でも、1泊2日の弾丸ツアーが可能。ただ、深セン弾丸は商用でもない限りもったいないので2泊程度はしたいところ。深セン以外にも、香港・広州・マカオなど滞在候補は多い。
・LCCである香港エクスプレスの就航により、広州(CAN)や深セン(SZX)を経由するよりも香港直行の方が安くなってしまった。香港エクスプレスは羽田(HND)発で香港まで3万円~。キャンペーンなら2万を切る。復路が羽田深夜着というのが難点。
・東京からはデルタ航空(直行)や中国東方(北京/上海経由)の香港便も安く、3.5万円程度から。
・関空からならピーチが安い。往復2万円ほど。
・以上から、広州(CAN)や深セン(SZX)経由はマイレージなど特別な場合以外は選択肢から外れがち。ちなみに広州便、深セン便共に5万円程度~。
・香港からの移動は、香港のホンハム(紅磡駅)からMTR東鉄線で深センの終点羅湖駅まで。羅湖から地下鉄3号線(竜崗線)で大芬駅下車。
【参考リンク】
・Wikipedia:大芬村
・Dafen Oil Painting Village:Official
・NHK 地球イチバン 世界一の油絵村
・世界DEEP案内:世界の窓
・Tripadvisor:世界の窓
【旅行期間】最短なら2日~
【費用】
航空券3.5万円、現地陸路移動(香港から深センは鉄道・バス)+広州2泊として1.5万円。合計5万円~
ご紹介いただいたのは…
tabinote編集部
(写真クレジット:Wikipedia, Dafen Oil Painting Village, Google[(地図-A:香港紅磡駅、B:大芬村、C:深セン宝安国際空港)])