tabinote田口です。
以前から料理を科学的に分析し、それを創作料理に応用した全く新しい料理の分野「分子ガストロノミー料理」というものに興味をもっていたのですが、あるとき、分子ガストロノミー料理の総本山であるスペインの「エル・ブジ(現在は休業中)」で修行したシェフがやっているレストランがバンコクにあるということを知り、行ってみることにしました。
普段はどちらかというとB級グルメ専門。日本にいる時も牛丼とラーメンさえあれば生きていけるという貧しい味覚の人間なのでうまくレポートできる自信はないのですが……。
レストランの名前は「Gaggan(ガガーン)」。インドのコルカタ出身のガガン・アナンドシェフが2010年にバンコクで開業しました。
「Gaggan」は、インド料理をベースに分子ガストロノミーを駆使した独創的な料理ですぐに人気店になりました。
アジアで権威のあるランキングのひとつ「Asia’s 50 Best Restaurants」では2015年から2018年まで4年連続1位を獲得、ミシュランガイドでも2年連続2つ星レストランとして掲載されるなど押しも押されぬ有名店です。
当然お値段もかなり高いです。
3ヶ月前にウェブサイト経由でなんとかテーブルを予約し、いざ向かいます。
どっかの大使館を改装したというおしゃれ一軒家洋館です。
60席くらいでしょうか。窓際の席に案内されます。
着席すると日本人ソムリエの方(シンガポールのレストランから最近移籍してきたそうです)から日本語で説明を受けました。
メニューは25!のEMOJIで表示されたセットメニューのみで、アラカルトはなしです。
それではいってみましょう。
1:桃のアイス的なもの。香りが鮮烈です。
2:口に入れるとゼラチン的なものの中から刺激的な味(辛め)が爆発します。
ウェイターがサーブしてくれる時に説明があるのですが、多くは材料や味を教えてくれません。そのぶん口に入れたときの驚きがすごいです。まさにエンターティメント。
3:ここではなんとテーブルの上にiPodとスピーカーを置いてKISSの「Lick it Up」という曲を流します。
そのままこのお皿を「Lick it up(舐めて)」という指示がありました。
下からベローンと舐めると順番に味が変わっていき、最後の緑はデザートの甘い味。つまりこれだけでコース料理なんですね。
ドリンクはオーストラリアのクラフトビールを選択しました。
ほんとはワインを試してみたかったのですが完全に予算オーバーなので、、。
4:チーズ的なもの。かなり味が濃厚です。
ほとんどの料理は手で摘んでそのままほおばります。量はさほど多くないで25皿でもだいじょうぶな気がします。
5:ナスらしいですが抹茶っぽいパウダーが振ってあって複雑な味がします。
6:ライスらしいけど食感はぜんぜん違います。
7:チャコール(炭)を使ったなにかです。
ここまでの皿がパズルになっているようでウェイターが並べてくれました。さてなんでしょう?
8:鳥の巣。卵の部分は口に入れると爆発し、液体が口内に流れ込みます。
これに限らず味が複雑すぎて自分の語彙力と記憶力がまったく追いつきません。
ちゃんとメモでも取っておけばよかったのですが、この時はただ料理を楽しみたくて、、
とにかくどの皿もどの皿も驚きに満ちています。
パズルの答えはインドの地図でした
たぶんここまでが前菜でしょうか。
9:木の器になにかが入っています。枯れ葉の中にキノコが入っています。まるで盆栽のようです。
キノコの形をしたブリオッシュだそうです。
10:ホワイトアスパラガス(を模したなにか)
タレをかけるとドライアイスで煙が登ってきます。
11:手巻き寿司みたいな形ですが口に入れるとソムタム(タイのパパイヤサラダ)の味になります。不思議~!!
12:中に入ったこの濃厚でクリーミーなものはなんだろう?
教えてくれませんでした(あとで驚きの答え合わせあり)。
13:ウニの軍艦なんですがシャリの代わりに青りんご味のなにかが。
14:中トロの握りとのこと、確かにトロの味はするがこれもなんだかわかんなかったです。でもおいしい!!
さてこれはドリップコーヒーのようですが……
コーヒー豆の代わりになにか植物ぽいものが入っています。
15:なんとドリップされたのはコーンスープ。めちゃめちゃおいしかった。どれもおいしいいけど。
ここからたぶんメインでしょうか、ようやくボリュームのある皿が出てきます。
16:エビ。ぷりぷりして極上でしたがソースがなんだかよくわかりませんでした。(どの皿もですが)
ここでようやくはじめてのカトラリーが登場しました。
17:ホタテらしいです。猛烈にうまかった。
2本目はハワイのクラフトビール。
18:絵文字のメニューを見ると餃子みたいですがなんだこれ?
「モモ」というチベット料理らしいです。
19:ラムチョップ。これは奇をてらわず普通にうまかったです。奇をてらいまくった料理ばかりだったので逆にちょっとびっくりしました。
20:サワラのくるみ焼きでしょうか?
おいしかったです。
そればっかですがそうなのだからしょうがない。
スプーンが出てきました。ようやくご飯物でしょうか?
この形はデ、デススター??
21:開けるとポルチーニ茸とグリンピースのカレーでした。
そうでした、ここはインド料理でした!!
辛さ控えめでおいしかったです。
もうこの時点でお腹いっぱいですがデザートが4品残っています!!
22:ガラスに入ったバラの花
「beauty and beast」だそうです(わかってない)
23:ヒマワリの形のお菓子
24:Dark side of the Moon
あ!ピンクフロイドだ!!!!
25:ラストはインアンドヤン(陰陽)。
胡麻饅頭でした。
最後に種明かしの紙をもらいます。
メニューはだいたい3ヶ月に1回変更するとのことです。
あ、あの濃厚ななにかは羊の脳みそだったようです。
コーヒーを飲み終わるとなんと3時間がたっていました。
最後にウェイターが「Last Surprise!」と言ってもってきたのがこれ。
人生でいちばん高い料理の請求書でした。
でもめちゃめちゃおもしろい体験だったので来てよかったです。
「Gaggan」は2020年に閉店し、福岡に新しいレストランがオープンするとの情報、バンコクに行くなら今のうちですよ。。