バルト三国とポーランド・チェコをダッシュで行く その1

建物は神殿のよう

Profile
darklogosmall

評論同人誌サークル「暗黒通信団」の雑文書き。
貧乏ノマド独身。英語は苦手。好きな地域は中東の砂漠。元コミケスタッフ。コテコテの理系。自称高等遊民。
詳しくは http://ankokudan.org/d/d.htm?member-j.html

 
(編注:おなじみシさんの旅行記。物語はいきなりヘルシンキから始まります。原文の勢いを尊重しそのまま掲載しています)

ヘルシンキは一言で言えば貴族たちの国であった。治安は良く道はきれいでゴミなんて落ちてない。貴族は道にゴミを捨てるなんて下品なことはしないのだ。
看板

物価は高いが、貴族はいちいちセンスの悪い値引き交渉をふっかけたりはしないのだ。貴族にとって労働はほぼスポーツと同じで、賃金より、健康的に生きることそのものだ。貴族はあくせく働かず、仕事は早めに終えて、余暇を楽しむのだ。
治安の良さ

それは当然のことで、誰も非難しない。スポーツをしないからといって非難するなんておかしいだろう? 定時で帰ると白い目で見られる日本のほうがおかしいのだ。空は青く晴れ渡り、建物は神殿のようで、よく掃除されたお店でビアパーティが開かれている。街のいたるところにアート建築が生えてて、レンタサイクルがあり、ピザは美味い。天国だ。
レンタサイクル

満足し、さぁ海峡を渡ってバルト三国に行くぞと宿の人に行き方を聞いた。日本人旅行者にはあまり知られていないが、エッケロラインという船があるらしい。運賃10ユーロは、ネット旅行記に書かれた値段の三分の一である。しかも9時発で時間的にも都合良い。

だが……来るんだよね、「不幸」ってヤツが。翌朝起きたら外は大雨。すごくきれいな夕日だったのに? 慌てて探す天気サイト。ちなみにBBC weather がなかなかオススメだ。傘はあるにはあるが、でかいカバンを覆えるものではないから、とりあえずカバンは見捨てて、中身だけをビニール袋で個別包装する。僕はいつも、いわゆるコロコロバッグを使わない。

憂鬱になる土砂降りの中、トラムの駅まで10分を歩き切符売り場を探すが、そんなものはなく、自販機すらなく、とりあえず待っている人たちの最後で、やってきたトラムに乗った。無賃乗車じゃん、見つかったらすごい罰金を取られるじゃん。しかし結局トラムの切符は買えないまま無事にTerminal2で吐き出された。ここからフェリーに乗るのだ。

ネット予約のチケットはすぐに受け付けられ、シェンゲン協定国内移動ということで面倒な入出国審査はない。通貨もユーロだからそのまま。結構大量の人と一緒に大型フェリーに乗り込んだ。このフェリー、なかなか商魂たくましい。安いチケットだと船室が与えられず、デッキでブラブラするしかないのだが、外は横殴りの大雨で見晴らしも何もなく、無料の椅子はほとんど無い。で、大多数の安チケ民は船内各所にあるバーにいくのだ。ちょっと値段を見たがボッタクリな感じがしたので、大きな荷物を引いて無料椅子争奪戦に参戦する。結果としてインフォメーションの前の椅子を確保した。電源が取れないという問題はあるが3時間立ちっぱなしという事態は回避された。ちなみにWifiは船内で自由に使える。外洋に出る前にと、この先、タリンからリガに向かう14時発のバスを予約し、大量に来た仕事のメールにビシビシ返事を書いた。休暇?そんなものはない。これを書いているのは年末だが、年始2日から仕事という超ブラック職場だ。

エストニア共和国タリンの港についたのは11:30。場所が変われば何とかなるかと少し期待したが、やはり絶望的な大雨あった。とにかく14時までに観光を完了してリガ行きのバスにのらないといけない。だって夜の宿はリガなんだもの。
バスはないかなと思ったが、大量の人が並んでいて何台待つかわからないし、そもそも歩いて歩けない距離でもなく、覚悟を決めて、小さなビニール傘一本で、そのまま旧市街まで歩き始めた。連載初回から何やってるんだ本当に。

アートな亀