大泉りか
大泉りか(おおいずみ・りか)
作家、コラムニスト。04年に「ファック・ミー・テンダー」(講談社)でデビュー。その後、ライトノベルや官能を執筆するほか、セックスと女の生き方や育児などをテーマとしたコラムを多く手掛ける。趣味は映画、アルコール、海外旅行。愛犬と暮らして14年目の犬飼い。現在、もうすぐ2歳になる息子の育児中。Twitter ID:@ame_rika
ウラジオストク子連れ旅2日目。その前に、前夜に寄ったスーパー事情について書いておきたいと思います。お土産物屋や洋服屋、カフェやレストランが軒を連ねる噴水通りを海側と反対側に歩いて10分も掛からない場所にある「クローバーハウス」という名のショッピングビル。その地下に「フレッシュ25」という24時間スーパーがあります。
デリは指さしで買えます。パブリカの肉詰めや、ミートボール、デーツのサラダといったデパ地下風味のお惣菜がとても安かったです。
生鮮やデリ、お菓子など、大概のものはここで揃うのでとても便利だけど、22時以降はアルコール類の販売は停止されてしまうのでご注意を。早めにホテルに戻らざるを得ない子連れは、部屋飲みのために22時までにアルコールを調達しておくのがマストです。ちなみに22時前に籠に入れておいても、レジの時点で時間がオーバーしていると買えません。
なんと、生ビールのサーバーもありました。ペットボトルに詰めてくれて、1リットルで約100ルーブル(約200円)。味はヨーロッパのビールらしいコクみのある味わいでめちゃくちゃ美味しいのでオススメです。
イクラ。約200円程度と、安かったけど、正直美味しくなかったです。
さて二日目は朝から、少し郊外にあるキタイスキー市場へと向かいました。郊外といってもGettで400ルーブル(約800円)もしないくらい。気軽に行ける値段です。市場ということで、朝から賑わっているかと思ったら、意外と閑散としていました。平日だからかと思っていたけれど、昼に近づくにつれて賑わってきました。どうやら、ロシアの朝は遅いようです。
市場はエリアごと、雑貨、玩具、蜂蜜、肉、チーズ、魚、花、野菜と分かれて売られています。蜂蜜を買うのに、どれにしようかと悩んでいたら、試食をさせてくれました。ほろ苦いものからクリーミーなものまでいろんな味があって、蜂蜜の概念が正直変わりました、ぜひウラジオストクを訪れた方はいろんな蜂蜜を食べ比べていただきたい。ちなみにお値段も日本の二分の一以下です。
昼前になると、市場は大混雑。ランチを食べる店を探しつつ、たまたま見つけたピロシキ屋でテイクアウト。ロシア語しかメニューがない上に英語が通じないので、適当にオーダーしたところ、野菜のピロシキでした。「えー、野菜?」とテンションが下がったものの食べてみたらこれまで食べたピロシキを大幅に超えて美味。ニンニクの香りのせいか、まったく物足りなさがありません。皮は揚げてなくて焼いてあるタイプなのであっさりしていてサクサク。昨日から薄々思っていたことですが、ロシア、食べ物美味しすぎます。日本のレストランレベルをはるかに超えたものが道端やスーパーやカフェで食べられるのは、なかなか衝撃です。
キタイスキー市場を出た後は、再び中心地に戻り、S56潜水艦博物館を観光。S56潜水艦博物館は、海沿いにあり潜水艦の内部を見学できるのです。潜望鏡や地雷などが展示されていますが、内部はめちゃくちゃ狭くて、よちよち歩きの子連れには、少ししんどい。出口近くには、水兵風のファッションでキメた陽気な男性二人組がいて、お金を払えば一緒に写真に撮れます。もちろん撮りました。
そのまま目の前の金角湾を背にして坂を上っていくと、すぐにスヴェトランスカヤ通りに辿り着きます。
本当に歩いて3分かそこらだけど、とにかく傾斜が急なので体力は消耗しました。しつこいようですが、この街はベビーカーの子連れにはしんどい……が、町並みは完全にヨーロッパ。散歩するだけで楽しくもある。
スヴェトランスカヤ通りに出て左手、ウラジオストク駅のほうに向かって歩くと、有名なグム百貨店が。旧ロシア時代からの老舗百貨店ということですが、とにかく入口がわかりにくく、おまけに建物の半分はZARAになっています。時計や貴金属、陶器などの店がありましたが、あまり興味を引かれなかったので、早々に出ました。
そのまま裏に回り込むとグム裏と言われている通りに出ました。こちらはオシャレスポットとして最近有名とかで、確かにしゃれた雰囲気で、センスのいい雑貨屋やカフェなどがありました。でも、狭いエリアなのであっという間に観光終了。このあたりの建物は、どれも古くてエレベーターやエスカレーターが少ないので、子連れショッピングはなかなか厳しいかもしれません。
まだ陽は高く、どこか子供の遊べる場所に行こうということで、アドミララ・フォキナ通り海岸にある遊園地まで足を延ばすことにしました。
遊園地は入場無料で、観覧車やミニユンボ、牛の疑似搾乳といった、様々なアトラクションが楽しめます。残念ながら1歳半の我が息子が楽しめるものは牛の疑似搾乳くらいでした。入場料は無料だし、タイヤで浮かんでくるくる小回りするボートや、ガラスがなく吊るされた籠上の観覧車、めちゃくちゃスピードの出る上に、コースなしで園内を走りまわれるゴーカート、的が2センチ×2センチほどの極小な射的など、日本では経験できない乗り物がたくさんあるので、息子がもう少し大きくなったら、またぜひ再訪したいです。とくにミニユンボの運転体験をさせたい。ユンボが魅力的すぎたので、「大人だけど、やらせてくれないか」とお願いしましたが、あっさりダメだと断られてしまいました。
自動小銃付き。
小児用ユンボ
的が小さすぎる射的。わかりずらいですが、赤丸をつけているところが的です。
スリル溢れる観覧車。
一度ホテルに戻り、少し休憩した後、ディナーへ。今夜は海鮮を食べようということで、『STUDIO』というレストランへと向かいました。昨晩の『Svoy Fete』が温かみ溢れる内装だったのに比べると、STUDIOはモダンな雰囲気。子連れには正直適していない感じでした。ただ、店員を呼ぶのがファミレスによくあるボタンを押す方式なので、妙に親近感はあります。
この店をチョイスしたのはタラバガニを食べようと思ったから。というわけで、タラバガニをオーダー。グラムで値段が決まっていて、その日あるサイズのものが出てきます。わたしたちが頼んだのは、1.5キロほどの大きさのもの。黒い手袋と一緒に出てきて手掴みでワシワシを食べる。大きすぎるかな?と思ったのですが、余裕で完食してしまいました。
黒パンで出来た容器に入ったボルシチ、タイガ風ハンバーグ、カクテルとビールを一杯ずつに、ボトルワインを1杯開け、デザートにバニラアイスの乗ったフォンダンショコラで、お会計は1万5千円。ロシア産のタラバガニが安いで有名なコストコだと、だいたい100グラムで700円くらい。この日のお会計が、合計1万5000円くらいだったことをかんがえれば、だいぶリーズナブルにタラバガニを満喫できたと思います(続く)