ニューノーマル時代の新旅行!?オンライン香港ツアーを体験してみた

オンラインツアーとは

tabinoteワタベです。
2020年は旅行業界にとって審判の年となりました。初春の新型コロナウイルス発覚以降、事実上旅行目的での海外渡航がほぼ不可能となり、秋になっても国内旅行すらおっかなびっくりの状況が続いています。国内に関しては”Go Toキャンペーン”の追い風はあるものの、まだまだ以前のような旅行需要の回復にはほど遠い状態です。ウイルスのしぶとさ次第ですが、もはやコロナ以前のような生活様式や移動習慣に戻ることがないのではないかという観測もあり、いわゆる「新しい日常」を前提として未来を考える必要があるのかもしれません。

そんな中で旅行業界から登場した新サービスの1つがいわゆる「オンラインツアー」。Zoomなどのオンラインミーティングアプリケーションを用いて実際にその地を訪れずとも疑似的に観光を体験できるというサービスで、新しい旅の選択肢として注目が集まっています。

メリットとしては、ガイドが現地のいちばんおいしいところをサクッと紹介してくれることから手軽に旅行気分が味わえ、移動の時間も繁忙期の混雑とも無縁なところでしょうか。たとえば歴史スポットやミュージアムなど、ガイドの解説がほしい旅ではかなり有用でしょう。デメリットはやはり体験の質です。匂いも味も熱気も実際には伝わらない、単なる映像と解説でどの程度満足できるのかなという先入観もあります。テレビの旅行番組やYouTubeの街歩き映像と何が違うのか、旅行前の予習程度にしかならないのではというのが正直な印象でした。


(筆者も大好きなNHKの番組「世界ふれあい街歩き」)

しかしながらこれが新たな旅のスタンダードとなる可能性もあり、ともかく一度体験してみることにしました。

香港オンラインツアーに申し込む

私が申し込んだのは香港政府観光局&キャセイパシフィック航空&ザ・ペニンシュラホテルズ&阪急交通社という4社のタッグによる『【おうち旅】★お土産6点&クーポン5,000円付★飛行機疑似搭乗&豪華ホテル体験!?香港バーチャルツアー!』というオンラインツアーです。

旅行費用は5980円。しかし5000円分の香港旅行クーポン*に香港が誇るザ・ペニンシュラのスイーツや観光局オリジナルグッズといった豪華なお土産セットが付属し、実質無料ともいえるお得なツアーです。
*2021年9月30日出発までの阪急交通社主催香港ツアーのみ有効

香港ツアー以外にも、国内やアジア、ヨーロッパ、北欧のオーロラやアフリカなど近場から秘境まで幅広くラインナップがありました。

私は香港への渡航経験も何度かあり、昨年も2度ほど訪れています。しかしもちろんペニンシュラなど足を踏み入れたこともなく、実はベタな観光スポットを意外なほど知らないことに気づきました。また、特に昨年からのさまざまな政治的イベントをふまえると、正直今後はあまり観光に行きたくないと思っていた場所でもあり、そのことに寂しさを感じていました。お得なツアーだったというのもありますが、ここで楽しい香港ステイをたとえバーチャルでも味わっておきたいと考えたのも参加理由となりました。

特典・豪華お土産セット

ツアー申し込みからほどなくして、旅行案内(タイムテーブルとZoomのリンク情報)が送られてきました。そして、ツアー催行日の前々日には日本の香港政府観光局からお土産セットが届きました。内訳は以下の通りです。

  • ザ・ペニンシュラホテルズセレクトのスイーツセット(マンゴープリン2個&焼き菓子3個)
  • 香港政府観光局オリジナルグッズ(タンブラー)&香港公式ガイドブック(全63ページ)
  • キャセイパシフィック航空のオリジナルランチバック&オリジナルボールペン(書いて消せるフリクションペン)

私はお土産付きのプランでしたが、これ以外にもお土産なしで2000円の香港ツアークーポン付き(2980円)というプランもありました。

ザ・ペニンシュラホテルズのスイーツには要冷蔵のマンゴープリンが含まれており、セットそのものがチルド便で届きました。オンラインでは味を伝えることができませんが、映像を見ながらスイーツを食べればリアリティが増しそうです。なおスイーツの選定(販売者)は東京のペニンシュラホテルとなっていました。

香港政府観光局オリジナルのタンブラーは、グラスのことかとっていたのですが実際に届いたのは保冷ボトルでした。ガイドブックはショッピング、アートといった街歩き系からアウトドアまで香港の魅力をコンパクトに凝縮した内容で、誰もがスマホを持つ現在ではこの一冊で旅行計画に事足りそうです。キャセイパシフィックのオリジナルグッズもファンにはたまらないでしょう。

なお「香港公式ガイドブック」は観光局のサイトからダウンロードも可能です。

このお土産セットだけで旅行代のもとがとれそうですが、さらに5000円分のクーポンがつくということで、かなりお得感がありました。

ツアーの様子

お土産が届いて2日後、いよいよツアー当日となりました。紅茶とスイーツを手元にブラウザを立ち上げます。

本日の旅程はこちら。

開始時刻になりZoomにログインします。
画面には実際のツアーと同じように添乗員さんが登場し、ツアーの説明をしてくれます。

空港移動からキャセイパシフィックでの香港移動までを実際の旅程に沿ってリアルに映像で再現。観光局やパイロットも登場し、機内アナウンスもオンライン用に改変されて再現され、本当に飛行機に乗っているような気分でした。

ところどころでアンケートやクイズもはさまれます。

香港に着くとガイド兼バスドライバーの方がまずは香港の名所を2箇所ほど案内。

続いて九龍半島の目抜き通り、ネイザンロードに移動。ここでは現地ガイドの方が生中継で登場し、リアルタイムで案内をしてくれます。

最初の立ち寄りスポットはなんとバックパッカー宿として名を馳せた重慶マンションでした。意外に人が多いなとか、マスク着けてない人もいるなとか、ライブ中継ならではのリアルな現地の様子が伝わってきます。

重慶マンションを通過し、ネイザンロードを南下して、香港のランドマークであるペニンシュラホテルへ。

一泊20万円以上、107平方メートルという豪華なデラックスハーバースイートの室内からはヴィクトリア・ハーバーの景観を楽しむことができます。

ヴィクトリア・ハーバーを彩るシンフォニー・オブ・ライツ。年末と春節にしか見ることのできない花火との共演も上映されました。もちろんこちらはリアルタイムではなく録画ですが、ドローンからの映像は臨場感にあふれています。

最後にヴィクトリア・ピークへ。100万ドルの夜景がツアーのハイライトとなりました。

最後に現地ガイドとの質疑応答があって終了です。

参加しての感想

オンラインという制約がありながらも、アンケートやクイズ、チャットも使ったリアルタイムのやりとりなど、旅の雰囲気をかきたてる工夫が凝らされており、香港の思い出と共に担当者の方々の苦労が伝わってきます。他の参加者には香港が初めてという方も多くいらっしゃいましたが(アンケートで判明)、旅のいい予習になったのではないかと感じました。

オンラインツアーの展望

まずオンラインツアーは初めて訪れる旅の予習としても意味があると思います。人気観光地の見どころや様子を事前に疑似体験することは計画にも現地でのスムーズな行動にも役立つでしょう。

そして、意外にレアスポットへの旅行に適性が高いのではと感じました。季節や時間が限られる場所、予約や入域許可、複雑な移動が必要な場所、秘境や一見さんお断りの場所など、普通の旅行者にはハードルが高い場所であっても訪れることができます。また現地に精通したガイドによる案内は、歴史スポットやミュージアム、そもそも日本人ガイドを雇うのが難しいエリアなどにおいて有用です。今回の香港ツアーでも、ペニンシュラのスイートルームやヴィクトリア・ハーバーの花火など、オンラインならではのレア体験を盛り込む工夫が見られました。

また、そもそも旅に行くことが難しかった人にも門戸を開くという点でのメリットも無視できません。予算や仕事の問題、子育てや介護など、旅のためにまとまった予定をとれない人も多くいます。そうした方々にとってはこれまでにない選択肢として定着していく可能性があると思います。

一方で、やはり現在の技術では所詮バーチャルな体験にしかすぎず、旅行系のテレビ番組や動画の派生でしかないという見方もできます。オンラインにおいて、自由意志で現地を動きまわることや、人々と交流するなども現時点では不可能です。仮に擬似的にそれを再現できるとしても、体験の質として実際の旅行とは大きく異なるものでしょう。匂いや熱気、喧噪、食事の味など疑似体験自体が難しいコンテンツもありますし、旅の楽しみとはそういった要因が積み重なったものに他ならない、不確実を体験できることが旅の醍醐味と考える人にとっては、やはり渡航前の予習的な位置づけにとどまるのではないでしょうか。

しかしながら、たとえば渡航先の人が複数集まる大使館や外国人街、レストランなどでツアーを実施すればよりリアリティを高めることも可能と考えられます。今後テクノロジーの発達に伴い、VRでの探索や現地に住む人々との双方向コミュニケーションといったことが可能になれば、より体験の価値が高まっていくことも期待できます。オンラインの特性を活かしたものとして面白いと感じたのは、阪急交通社のオンライン・オーロラ観賞ツアーです。これは東京とアラスカ、アイスランドの3拠点をつないでリアルタイム上映するという企画であり、オンラインでなければ実現しなかった新たな試みといえるでしょう。現地のガイドやゲストハウス、参加者などとの間のコミュニケーションが成立すれば、単なる旅の予習以上の機会になるでしょう。オンラインで出会った参加者と宿をシェアしたり、オンラインで案内してもらったガイドに実際に会って案内を依頼したりといったことも可能になりそうです。

現状では、「新しい日常」ならぬ「新しい非日常」ともいえる旅のかたちとして独自に発展するか、コロナ収束と共に廃れる一時期の徒花となるか、いずれにも転びそうな気がするオンラインツアー。ひとまずはクーポン期限の2021年9月30日までに、香港への外国人観光旅行が解禁されることを祈りたいと思います。

プレゼント企画!
★終了しました★
今回の香港オンラインツアーのお土産セットから、キャセイパシフィックのオリジナルランチバッグとボールペン、香港観光局のオリジナルタンブラーの3点をセットにして1名様にプレゼントします。
info@tabinote.jpまで「香港プレゼントくれ」の件名で空メールをお送り下さい。10月12日(月)に抽選を行い、当選した方には送付先などおってお問い合わせさせていただきます。