世界あの街この街:#61_ミラノ


Milan Cathedral (©4Corners, トリップアドバイザー提供)

イタリア共和国・国旗

(画像:Wikipedia)


見どころと特徴

北イタリアの中心都市で、経済の中心である一方ファッションやグルメでも名高い。美しい街並みの散策、史跡やアート鑑賞、ショッピングにサッカー観戦と多様な楽しみ方に対応する懐の深い街。

ミランの地図を開けばわかるとおり、街の中心は大聖堂ドゥオーモ。ドゥオーモをいくつかの環状路が取り囲み、ドゥオーモから放射状に道が延びている。道は意外にいりくんでいるのでスマホの地図を参照すると便利だ。
Duomo di Milano to Navigli   Google Maps
(画像:Google)


ミラノの見どころはドゥオーモを中心に点在している。そして、最大の見どころがミラノ大聖堂ことドゥオーモそのものである。
100本以上の尖塔がそびえ立つゴシック様式の聖堂はイタリア建築最大の傑作。14世紀に着工され、完成は19世紀の前半と世紀を超えて建てられた。繊細かつ壮大な外見も見事なステンドグラスの内部も隙なくすばらしい。
屋上にはテラスがあり、市街を見下ろすことができる。


Milan Cathedral (Duomo) (トリップアドバイザー提供)

ドゥオーモに隣接するアーケード街は「ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア」。現在のイタリア共和国の前身となったイタリア王国の初代国王にちなんで名づけられた。
19世紀後半に完成したショッピングアーケードで、ガラスのアーチや天井画、床のモザイク模様など美術品のように美しい。夜はアーチがライトアップされ一層華やかになる。入居する店は高級レストランやラグジュアリーブランドばかりだが、懐具合にかかわらず行ってソンはない。


Galleria Vittorio Emanuele II (トリップアドバイザー提供)

近くにはミラノの老舗百貨店「リナシェンテ」がある。他の店ではなかなか手に入らないような特別なアイテムや限定品もあり、おみやげさがしに大変便利。最上階のカフェからはドゥオーモを間近に眺めることができる。

La Rinascente (トリップアドバイザー提供)

サン・マウリツィオ教会はミラノ中心部に位置する一見地味な教会。内部はノアの箱船やキリストの磔刑などキリスト教の名場面を描いたフレスコ画で埋め尽くされており、扉を開けた瞬間誰もが息をのむという。

Chiesa di San Maurizio al Monastero Maggiore (トリップアドバイザー提供)

ブレラ絵画館はフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトが開館したという由緒ある美術館。ルーベンス、ラファエロ、カラヴァッジョなどの名作がおしげもなく公開されている。中でもマンテーニャの「死せるキリスト」は独特の迫力で評価が高い。

Pinacoteca di Brera (トリップアドバイザー提供)

スフォルツェスコ城は15世紀に建てられた宮殿で、砦のような巨大なスケール。内部にはミケランジェロをおさめた博物館や美術館が併設されているが、あまりに広大なのですべて見るには数日必要だという。

Castello Sforzesco (トリップアドバイザー提供)

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会は完成に170年を要したというカトリック聖堂。隣接するドメニコ会修道院の食堂にはダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」が展示されている。絵画の見学時間は15分と限られており、事前予約が必須。飛行機のチケットを取ったら忘れずに予約しておこう。

Santa Maria delle Grazie (トリップアドバイザー提供)

街歩きをのんびり楽しみたい層に人気なのが南のナヴィリ地区だ。古い街並みに運河や船着き場が残り、中心部のにぎやかさとはうってかわって落ち着いたエリア。観光客だけではなく地元民の散策エリアでもあり、カフェやショップも個性派ぞろい。

Santa Maria delle Grazie (トリップアドバイザー提供)

本田圭佑選手の所属するACミランやインテルの本拠地であるサン・シーロスタジアム(スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ)は市街から6kmと近い。ガイドツアーもあるがもしシーズン中ならぜひチケットをおさえたいところ。

Stadio Giuseppe Meazza (San Siro) (トリップアドバイザー提供)


ミラノから南に30kmほど、パヴィア修道院は世界でも屈指の壮麗な修道院とされ、郊外観光の目玉。様々な彫刻がほどこされつつ完璧なバランスを保つファサードに圧倒され、フレスコ画や彫像で飾られた内部に度肝を抜かれる。
「青き聖堂」の別名とおり青い天井も美しい。
修道院として現役の施設であり、今でも多くの修道士が500年前からの伝統を守って暮らしている。


Certosa di Pavia (トリップアドバイザー提供)

ミラノからの郊外観光ではコモ湖も人気がある。ミラノから北に80kmあまりだが十分日帰りも可能。スイスとの国境近く、アルプスを背景に望む風光明媚なリゾートで、王族やムービースターの別荘が建ち並んでいる。

Como (トリップアドバイザー提供)

チンクエ・テッレはミラノの南200kmほどの場所にある海沿いの村落群。ミラノからの日帰りも可能。切り立った入り江を利用した要塞都市として建設され、交通手段は船のみという中で独特な文化がのこされてきた。絵本のようにあざやかな伝統家屋、絶景トレッキング、岩がちの土地で唯一の農産物である絶品ワインなど魅力あふれるエリアだ。

Cinque Terre (トリップアドバイザー提供)



Osteria Al Portone (トリップアドバイザー提供)

ミラノはイタリア北部料理の伝統をうけつぐ一方、国際都市として流行や他国の料理をいち早くとりいれてきた。
アルプスに近い風土を反映して肉や乳製品など重厚な料理が特徴で、ミラノの代名詞ともなっているカツレツ、仔牛の煮込みオッソブーコ、生ハム、硬質なチーズなどが名高い。また、主食もリゾット(特にサフランのものが有名)やポレンタが好まれる。

ミラノには食前酒(アペリティフ)を頼むとバールのカウンターに並んだつまみを好きなだけとっていいという夢のようなおつまみブッフェのしくみがあり、アペリティーボ(Aperitivo)と呼ばれる。酒とつまみでゆっくりと腹を満たし、メインディッシュへの期待を盛り上げていくのがミラノ流だ。


Ilia (トリップアドバイザー提供)

日本からの行き方

(空路)
ミラノへの直行便は現在アリタリアの成田便のみ。所要12時間程度。
16年3月現在では燃油の値下がりやテロなどによって欧州便は非常に手ごろとなっており、アリタリアのサイトで直接予約しても8万円台、代理店や予約サイトなら6万円台もある。

欧州の人気都市だけあって乗り継ぎ便の選択肢も非常に広く、欧州の他都市経由、アジア経由、中東経由などきりがないほど。アジアや中東とそれほど値段が変わらなければ、比較的時間の目処がたちやすい欧州乗り継ぎがおすすめ。

(陸路)
日本から陸路入りするとしたらローマから鉄道やバスで入る場合が多い。
高速鉄道の場合所要3時間、片道5千円程度。LCCでもほぼ同額程度だが、快適に移動したしたい場合には鉄道の方がいいだろう。所要時間もトータルではほとんど変わらない。
バスも複数あり、ローマから3000円程度と安いが、所要も9時間と長め。
この他国際バスEurolinesがミラノと欧州各都市とを結んでいる。

(パッケージツアー)
シーズンにもよるが、4泊5日(機内泊)の往復経由便の場合、サーチャージ込み7万台から(ただし現地滞在時間は1日半~2日程度)。アリタリアの直行便ツアーなら5日間で11万円程度~。

(空港)
ミラノの空港は3つあり、日本からの国際線が発着する最大の空港がミラノ・マルペンサ空港(Milano-Malpens;MXP)。
他には欧州線中心のミラノ・リナーテ空港(Milano-Linate;LIN)、ベルガモ・オーリオ・アル・セーリオ空港(Bergamo-Orio al Serio;BGY)がある。

マルペンサ空港はミラノ市街から北西に約50km。ターミナルは2つあるが、新しいターミナル1がメイン。ターミナル2はEasy Jetが使っている。空港から市街までは鉄道かバスが便利で安い。鉄道は24時間運行しており、ミラノ中央駅まで所要50分、料金は12ユーロ、往復券が18ユーロ。バスの場合は所要50分、料金は10ユーロ。空港タクシーの料金は決まっており、市街まで定額90ユーロ。白タクに注意。

リナーテ空港は市街から東に7kmと近い。アリタリアの国際線・国内線に加えてエールフランスのパリ便、ルフトハンザのフランクフルト便、ブリティッシュエアウェイズのヒースロー便など国際線も多い。市街までは地下鉄、バスが利用できる。タクシーはやはり定額で40ユーロ。

ベルガモ・オーリオ・アル・セーリオ空港は厳密にはミラノ市ではなく、ベルガモ市(Bergamo)に位置する。ベルガモ出身の画家ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ(デレク・ジャーマンの映画でも有名)にちなんで、別名イル・カラヴァッジオ空港と称される。主にLCCのライアンエアーが利用している。
ミラノ市街まではバスが便利。所要50分、4ユーロ。鉄道の場合はベルガモ駅からミラノ中央駅まで所要50分~75分、4.8ユーロ~。




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地理と気候

イタリアといえば輝く海と太陽!というのは地中海側の南部。ミラノは北部に位置し大陸性気候で四季がある。すぐ北はスイスとアルプス山脈であり、冬は東京と同じくらいに冷え込む。夏は近年の東京よりやや涼しく、湿度も日本よりマシで過ごしやすい。

ベストシーズンは過ごしやすい春(4月~6月)か秋(9月・10月)だが、上述通り夏も過ごしやすく、冬もバーゲンやクリスマスマーケットなど季節ごとの楽しみがある。毎年12/7はミラノの守護聖人・聖アンブロージョの祭と定められている。

日本との時差は8時間で、日本の正午が現地の午前4時。
サマータイム中(3月の最終日曜日AM2:00~10月の最終日曜AM3:00)は時差7時間となる。

ミラノ   Google マップ
(画像:Google提供)


言語と通貨

公用語はイタリア語が基本。
外国人の行くようなホテルやレストランでは英語が通じることもあり、メニューにはイタリア語と英語が併記されていることもあるが、あまり英語は通じないと思って良い。
通貨はユーロ。1ユーロ=125円程度(16年2月時点)。

イタリアの物価はヨーロッパの中では比較的安い方だが、ミラノは大都市だけあって高く、なんでも東京と同じくらいに感じるかも。
タクシーは平日昼間の初乗り3ユーロ程度。
外食は高めで、カジュアルなトラットリアで1人当たり20ユーロ程度。デリカテッセンなら総菜を買い込みワインを追加しても10ユーロ程度ですむ。エスプレッソは1ユーロ。ホテルは3つ星ホテルが70ユーロ程度から。

両替は最低限のユーロを日本で両替していけば十分。
ホテル、レストランではサービス料が追加されているのでチップは不要。タクシーは料金の1割程度またはお釣り、ポーターは1ユーロ程度が相場。
ホテルやレストランをはじめ、多くの場所でクレジットカードが使える。現金が必要であれば都度現地からATMで引き出すのが効率的。




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ビザと治安

観光目的の場合、90日以内の滞在はビザ免除。

ざんねんながら治安はあまりよくない。観光都市だけあって窃盗の被害は多め。特にスリと置き引きが多く、地元イタリア人でも少なからず被害にあっている。ホテルでの窃盗もグレードに関係なく発生している。
特に観光客の集まるドゥーモ広場、ガレリア、中央駅や繁華街、メトロ車内でのスリ被害が多い。空港でも注意が必要だ。ロマ・ジプシー風のグループ(特に子供)には気をつけること。
バイクをつかったひったくりや強盗など荒っぽい犯罪も報告されている。


市内交通

ミラノの公共交通は地下鉄、トラム、バスなど。すべてミラノ交通局(ATM:Azienda Trasporti Milanesi)の運営。

(地下鉄、トラム、バス)
地下鉄はメトロポリターナと言う。M1、M2、M3、M5の4線が運行中。
市内交通のUrban Ticketの場合、1回券が1.5ユーロ、24時間券が4.5ユーロ、48時間券が8.25ユーロなど。一週間有効のWeekly Travel Cardは11.3ユーロ。

地下鉄、トラム、バスのチケットは共通で90分以内の乗り継ぎが可能だが、地下鉄は改札を出ると無効になる。

(タクシー)
TAXI(タッシーと読む)は白色または黄色で屋根にTAXIのサイン表示がしてある。流しのタクシーは少なく、タクシー乗り場やホテル前などでひろう。

平日(土含む)昼間の初乗り3.2ユーロ、日祝5.2ユーロ、夜間21時から翌6時まで6.2ユーロ。
チップ込みでメーターより少し多めに(1割が目安)払う。
ドライバーには英語は通じないと思った方が良い。現地語で表記された地図やメモ、ショップカードを見せた方が確実。
空港や中央駅、繁華街などには声がけをしてくる白タクがおり、トラブルも報告されている。Uberなら安心だ。

  • ATM:ミラノ交通局(ジャーニープランナーなど)
  • Uber:ミラノ

(レンタサイクル)
ミラノは自転車メーカー・ビアンキやコルナゴのお膝元、風情ある市街散策には自転車がよく似合う。

公共のシェアバイク、BikeMiが利用できる。一週間有効のパスが6ユーロ、あとは利用するたびに従量課金。

スポーツサイクルが借りたければ個人の自転車貸しサービス、Spinlisterもおすすめ。どうせならビアンキを借りてしまおう。ただし石畳が多いので、細いタイヤのロードバイクに乗る際は十分注意しよう。


ホテル


ME Milan – Il Duca (トリップアドバイザー提供)

歴史を反映した重厚なホテルからデザインホテルまでそろっている。
ホテル代は欧州の他の大都市にくらべてやや手ごろ。3つ星クラスが1万円、4つ星で1.5万円~程度が目安。

安宿の場合、いわゆるホステルの個室が5000円程度。ドミトリーなら1000円台からある。
個人宅の部屋貸しサービスAirbnbの利用もお勧め。


ネット・通信環境

(携帯・モバイル)
イタリアの大手キャリアは旧国営の最大手TIM、おなじみVodafone、香港系のThree、Windなど。各社ともにプラン変更やキャンペーンはひんぱんに内容が変わる。外国人でもプリペイドSIMを問題なく購入できる。

TIMの場合、4週間有効のInternet StartパッケージならLTE通信が2ギガ使えて10ユーロなど。
Threeの場合、30日有効のデータ専用Super Internet ExtraパッケージならLTEデータ通信が3ギガ使えて5ユーロなど。
Vodafoneの場合、4週間有効のFlexi Startパッケージなら400分の通話と1ギガのデータが使えて15ユーロなど。
Windの場合、4週間有効のALL INCLUSIVEパッケージの場合500分の通話と2ギガのデータが使えて12ユーロなど。



(WiFi)
多くのカフェでWiFiが提供されているが、他国のようなチェーン店は少ない。

ミラノでは公衆無線LANが提供されており、公式サイトによると1日300Mまで無料、超過した場合は1時間の高速接続の後に速度規制がなされるとなっているが、サイト上では1日1時間300Mまでという情報もある。登録にはSMSの受信が必要で、つながらないことが多いとされておりあまり期待できないかも…。